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Listen, Read, Write and Rewrite

名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方 (日経ビジネス文庫)『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』を読んだ。名作コピーが名作たる所以の解説を通して、文章が読まれる条件についてエッセイ風に書き記されている。

気の持ちように関する話が多かった。そのせいか、全体的な雰囲気が『パワープレゼンテーション』が似ているように感じる。ただ、この本には、体系立てられたフレームワークも、即効性のあるTIPSもほとんど書かれていない。

精神論のようで食わず嫌いになりかけたけれど、一歩立ち止まって考えてみる。その気の持ちようを、文章からどう読み取ってもらうかがテクニックなんじゃないか? と。人を動かすのは、客観的な事実より主観的な物語だ。自分は、どちらかという事実を重視する方で、コピーを読む時はかなり割り引く。それでも、動かされるのは物語だ。少なくとも、事実を確かめようという動きだすキッカケは、物語に揺さぶられた感情だと思う。

ここからは、コピーに特徴的な話。

コピーとプレゼンテーションなどとの最大の違いは、そこに載っている気持ちの出所だと思う。プレゼンテーションでは気持ちの出所も自分だけれど、コピーライターの場合それはクライアントになる。そのことを端的に現しているのが、「第三部 話の見つけ方」の最初の章タイトル「書き上手になろうと思うな 聞き上手になれ」。『たのしいロゴづくり』の4章を連想した。ロゴづくりでも、いかにクライアントから話を引き出すかが重要になる。『アジャイルサムライ』でいうところの期待マネジメントにも通じそう。

もう一つ、コピーで特に重要になるのは、他のコピーとの差別化の話。確かに、他と同じでは読まれないように思う。差別化のためには、自分の気持ちより、読者より、さらに外にある言葉にまで目を向けないといけない。どんなに気持ちが載った言葉でも、読者が色んな文章の中で見かけていたら、色褪せてしまう。だから、想定読者がどんな文章を読んでいるか、とか自分の書いた文章の隣にはどんな文章が並んでいるか、も考える必要が出てくる。

コピーは感覚的なものと思っていたけれど、体系的とまでは言えなくともツボはあるらしい。それが分かって、少し視点が広がったような。

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