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Sheep and Ships

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)
「『天冥の標 III――アウレーリア一統』を読んだよ」

「あれ、ついこないだIII巻が売ってないって嘆いていたような」
『天冥の標』、ピンポイントで買おうとしてる3だけ在庫切れ。ついてない……。
posted at 12:20:28
「忘れちまったよ、そんな昔の話は」

「そんな記憶力で大丈夫ですか? 『I〈上・下〉』(感想)や『II』(感想)の話、忘れてませんか?」

「大丈夫だ、問題ない。『III』だけ読んでも十分面白い」

「ダメですね」

「冗談だってば。鶏じゃないんだから」

「鶏じゃなくて、羊ですよ。大事なのは」

「そうだね。毎回出てくるね。『III』は『II』の300年後、『I』の約500年前に位置しているから、800年に渡っているのだけれど、いつも羊はそこにいる」

「影の主役に違いありません」

「そう言えば、『影の主役』とは言うけれど、『光の主役』とは言わないね」

「言いませんね、『日向の主役』とも」

「それだと何かほのぼのするね。ともあれ本巻の主役は、宇宙戦艦エスレルの艦長アダムス・アウレーリア」

「今度はスペース・オペラですか。SFの色々なジャンルを横断していきますね」

「ね。おかげで『II』でのしかかってきた重苦しさからは随分と解放されたよ。エスレルの外連味溢れる戦い方が面白い。それを合理的に見せる設定も含めて。やっぱり白兵戦の方が迫力あるよね!!」

「次は『IV――機械じかけの子息たち』」

「本巻の時と同じ轍を踏まないように、もう買ってきたから早速読み始めよう」

「やっぱり覚えているじゃないですか……」

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