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たった一つの、私のものではない故郷

『COURRiER Japon 9月号』の『ピュリツァー賞受賞ジャーナリストの"告白"「私は不法移民だった」』(原文は、"The New York Times Magazine")をきっかけにつらつらと考えた。
この記事では、タイトル通り、ピュリツァー賞を受賞したジャーナリスト、ホセ・アントニオ・バルガス自ら、不法移民であると告白している。
しかも、ゲイだとも。

先日観た映画、『フィリップ、きみを愛してる! (原題 "I Love You Phillip Morris")』(感想)の主人公スティーブンも、実話を基にしているとは思えない経歴だったけれど、それに勝るとも劣らない。

偶然なのか、そういうところに目が行くのか、最近、観たり読んだりした作品に、この手の問題を扱っているものが多い。
『マチェーテ (原題 "Machete")』(感想) の主人公マチェーテも不法移民だったし、『ねじまき少女』(感想) の主要登場人物の一人ホク・センも難民だった。それから、『フローズン・リバー (原題 "Frozen River")』(感想) にも密入国の描写があった。

『フローズン・リバー』と言えば、同じ9月号にこの映画に言及している記事があった。
こちらは連載記事で、『最相葉月が読むNew Scientist 第15回 遺伝子検査で「部族認定」!? 悩めるインディアンたち』というタイトル。

偶然って続くものだなぁ。ポアソン分布を思い出す。

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