「今年もイグ・ノーベル賞が発表されたね」
「されましたね」
「そん中で、"Organizations Would Become More Efficient If They Promoted People At Random"って論文が経営学賞を取ってたんよ。適当に訳すと『組織は構成員をランダムに昇進されるとより効率的になる』ってところか?」
「双司君の英語力を考えると、若干不安がありますけれど、そんなところじゃないでしょうか」
「明日、突然昇進したりしないかなー」
「はいはい、したらいいですね」
報酬は才能を無駄にせず生かす方向で、与えられるべきだ。従業員の努力に対しては、俸給、従業員の能力に対する信頼、仕事の決定権の付与などで報いるべきであって、必ずしもいつも出世の階段を押し上げる必要はない。部下が上司より給料が高くてはいけないといういわれはない。
「最後の一文はかなりラディカルに聞こえますけれど」
「評価軸を定めると、意図しないインセンティブを与える可能性もありますからね」
「間違ったノルマとかねー」