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ウィンウィンウィン

『ウィニング 勝利の経営』を読んだ。

タイトルに「経営」と入っているけれど、本書は経営者向けの本ではない。
経営者向けの本に、「昇進する――残念でした。近道はありません」や「難しい点――あの、いまいましい上司め」なんて章はない。

誰向けの本かは、「はじめに」にはっきりと書いてある。
この本は現場の第一線で働く人々のためのものだ。
つまり、経営者だけじゃなく、管理者も平社員も入っている。

テーマは、タイトル通り「勝ちとること」だ。
待っていたって、誰かがくれる訳じゃない。
自分でとりにいかないと、いつまで経っても望むものは手に入らない。

ところで、「勝つこと」は「負けないこと」ではない。
「負けない」には、「引き分ける」や「勝負しない」が含まれる。

例えば、小学校の運動会でかけっこで手をつないでゴールさせたり、護送船団方式で全ての銀行が倒産しないようにしたりすると、誰も負けないし、誰も勝たない。
運動会であって競技会じゃない。競技会じゃないけれど協議会みたい。

勝負あるいは競技でも「参加することに意義がある」とか、「負けて得るものがあった」とか言うけれど、「参加した意義」や「負けて得たもの」なんかより、「勝って得たもの」の方が大きい。
勝利することは最高だと思う。単に「よい」ことではない。「最高」なんだ。

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