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回って揺れて / インゲヤード・ローマン展@国立近代美術館 工芸館

東京国立近代美術館の工芸館で、『インゲヤード・ローマン展』を見てきた。国立公文書館で『躍動する明治』を見たあと、時間に余裕があったので、そこから歩いて10~20分。


薄くシンプルなガラス製品が美しい。2年前の2016年にIKEAでお手頃な値段で発売された製品もあるらしい。限定品だったので、今は買えない。残念。

こういうシンプルな製品の方が、飽きずに長く使えて愛着が湧くと、頭ではわかっている。でも、癖のある製品と並んでいると、後者を選んでしまうことが少なくない。自分の背中を押してくれるハッキリとした何かがないと、迷いが生じてしまうのかもしれない。

衝動的だったり、変わり者気取りだったり。なんて原因の方がもっともらしい気もする。

写真はよい。とくにデジタル写真は。衝動的に撮っても後腐れが少ないし、変わった視点を探すのも楽しい。視点について考えていると、製品そのものではなくて、それが自分の暮らす部屋に置かれたときの、バランスを考えてしまう。あるいは、アンバランスが嫌でも気になる。

遠心力で整形したという製品(撮影不許可)のわずかなゆらぎが印象的だった。手仕事ではないのに、ゆらいでいるのがおもしろい。

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