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国/境 - アフリカ学入門―ポップカルチャーから政治経済まで―

『アフリカ学入門―ポップカルチャーから政治経済まで―』を読んだ。『新・現代アフリカ入門』を読んだあとに、他の専門家がどんな見方をしているか知りたいと思い、多数の著者が名を連ねている本書をチョイス。

研究者、JICA(日本のODA実行機関)の職員、NGOの方、日本在住のアフリカ(スーダン、コンゴ民主共和国)の方。いろいろな立場の方の言葉が載っていて、十分な読み応えだった。最初に断りがあるものの、ポップカルチャー色が薄めだったことだけが少し残念。


印象に残り続けているのは、日本在住のアフリカの方々が「アフリカ」という括りの粗さを指摘していたこと。世界には約200の国があってアフリカには約50の国があるというのにステレオタイプな「アフリカ」としてしか知られていないというのは、各国の方にとって、やりきれないことなのかもしれない。

アフリカには多様な人々が居住しており、それを全部1つの言葉、「アフリカ」で語ることはあまりにも「豪快すぎる」気がします。
●コラム3 日本に暮らすアフリカ出身者に聞いてみました① アブディン・モハメド・オマル (Abdin Mohamed Omar) スーダン障害者教育支援の会(NGO)代表
一般的に日本人が持つアフリカのイメージは悪いように感じます。そもそも「アフリカ」という国はありません。アフリカにもさまざまな文化や人びと、暮らしがあります。そこに暮らす人びとは感情を持つ、あなたと同じ人間です。人とであり、理解し合うことで偏見をなくして欲しいです。
●コラム4 日本に暮らすアフリカ出身者に聞いてみました② J. P. ムケンゲシャイ・マタタ (J. P. Mukengeshayi Matata) オリエンス宗教研究所所長

どこもかしこも詳しく知ることはできないけれど、自然に入ってくる情報が少ないから収集コストが高くなりがちなのが辛いところ。


もうひとつ強く残っているのが、この1文。
NGO関係者を見ていると、かれらは社会に対するある種の「怒り」を共有しているように感じる。

もちろん他の理由もあるのだろうけれど、理由の一つが「社会に対するある種の怒り」なら少しだけわかる気がする。NGO関係者の方が、相当の負担に耐えつつ活動しているのを読んで、何がそこまでさせるのだろうと思っていた。念のため補足しておく。わかる気がするのは、「社会に対するある種の怒り」による活動なら組織だって社会にはたらきかけるという判断であって、その「怒り」自体ではない。

怒ってもいいことなんてないというけれど、それは表現の問題であって、うまくコントロールできれば力になるだろうな、という感覚。激しい感情と、落ち着いた判断とを、なんらかの形で並立させないといけないから、とても難しいことだとは思うけれど。


ここまで、アフリカ大陸(の特にサハラ以南)を対象にした本を読んできたので、今度は国にフォーカスした本を読んでみようと思い、読んだ。『謎の独立国家ソマリランド』というタイトルの本。本書とは打って変わって、著者個人の体験が前面に書かれているノンフィクション。向かった地点も、作者の視点も、刺激的だった。詳しくは別のエントリィで。

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