「『ゆゆ式 (9)』を読んだよ」
「どうでした?」
「p.15から始まる、ちゃんと迷子になる話がよかった。ゆずこの迷子になりたいって気持ち何となくわかる」
「双司君、よく迷子になりますよね」
「そうなんよね。迷子になるまいと気をつけていないと、なんとなくこっちからも行けるかな? って知らない道に入っていって、迷っちゃうんよ。近所でも」
「大丈夫ですか……」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。いざとなったらスマホもモバイルバッテリーも持っているから」
「スマホがある時代に生まれてよかったですね」
「ね。なかったら、野垂れ死にしかねない。でも、迷子になるのもいいもんだよ。いろいろな発見があって」
「予定より遅くなっちゃって日が沈みかけるとこんな写真も撮れたりするし」
「迷子もほどほどにしてくださいね」
「そうね、知らないところで暗くなってくるとちょっと恐いしね」
「ねー泣いちゃうからねーー」
「スッと家帰るわ。スマホ使って」