『ミスター・メルセデス』の上下巻を読んだ。
スティーブン・キングの小説を読むのは、久し振りだろう。これの前にいつ何を読んだのか思い出すことさえできない。
ミステリィ賞を受賞した作品らしいけれど、ミステリィと聞いて自分が最初にイメージするような、最後に謎解きがあるタイプではない。序盤で犯人が明かされるし、犯人の視点での描写にも相当のページが割かれている。
そういう意味では、期待を裏切られた。けれど、じゃあ詰まらなかったのかいうと、全然そんなこともなく楽しませてもらった。途中からページを捲る手が止まらなくなって、上巻を読んだその日のうちに下巻を読みきってしまったくらい。
主人公ホッジスが退職刑事というのが渋い。〈バック・シャッツ〉シリーズ(『もう年はとれない』、『もう過去はいらない」)を彷彿とさせる。彼に協力する、主人公黒人の少年ジェロームと、ちょっと情緒不安定に見えるホリーも、いいキャラクタをしている。
なお、本作は三部作の第一部で原著はもう第三部まで出版されているとのこと。おいおい翻訳も出るだろうけれど、まだ時期が分からない。いつ出るかなあ。