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蛇拳魚足 - ブリューゲル「バベルの塔」展

『ブリューゲル「バベルの塔」展』を観てきた。

16世紀のオランダの画家ピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの塔」を目玉に、彼に影響を与えたヒエロニムス・ボスとその関連作品(ボスの工房に所属していた人などの作品)が展示されていた。

これらの作品のオマージュが展示されていたのが、先日行ってきた『BABEL Higuchi Yuko Artworks原画展』(5/7までだから、とゴールでウィーク中に行ったのだけれど、5/31まで延長したみたい)。ボス、工房の人たちやブリューゲル、そして現代に至るまで奇想が継承されてきたことに、感慨を覚える。

で、目玉の「バベルの塔」なのだけれど、近くでゆっくり見ることができない展示形態だった。最前列は前に進みながら観ないといけなくて、ゆっくり観ようと思ったらその後ろから。細部まで描き込まれているのを、近くでじっくり観たかったので残念至極。

代わりと言ってはなんだけれど、300%拡大複製も展示されていたのはよかった。縦横それぞれ3倍の長さなので、面積9倍。こちらは、間近から細部までためつすがめつ眺められた。拡大されてようやく分かることがいくつもあって、それを原画で確認するのが楽しかった。

余談だけれど、公式マスコットのタラ夫が、『南国少年パプワくん』のタンノくん(タイに人の足が生えている)を彷彿とさせてしょうがない。でも、タンノくんの婚約者は、魚の体に人の足じゃなくて、人の体にイカの足のウミギシくんなんだよね。

あ、ヒグチユウコさんが描くギュスターヴくんも足が軟体動物頭足類だ(何かつながった気がする(気がするだけか(腕は蛇だし)))。

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