『金融工学の挑戦』を読んだ。『ブラック・スワン』に通じることが書いてある。
欠陥の原因は、収益率が正規分布しているという仮定だ。
本書によると、この仮定は七十年代に否定されている。
それにも関わらず、なぜ今でも正規分布が持て囃されているのだろうか。
正規分布が真の分布の良い近似になっているの分野ではもちろん使えばいいのだけれど、金融工学のようなそうではない(恐らくそうではなさそうな)分野でも使われ続けているのはなぜだろうか。
理由の一つは、計算が容易であるということ。
正規分布を仮定すると、美しい解析解が得られる。
このことは回帰分析の過程を追ってみると分かる。
それから、もう一つ。
理解が容易であるということもあるんじゃないだろうか。
でも、「理解できる/できない」と「事実に即している/即していない」とは、何の関係もない。
VaRの場合、九九%VaR点の先一%のところにどんな大きな落とし穴が待っていても、それは気にしなくて良いことになる。これがこの指標の大きな欠陥である。この「大きな落とし穴」が、『ブラック・スワン』の著者タレブがいうところの「悪い方の黒い白鳥」にあたる。
欠陥の原因は、収益率が正規分布しているという仮定だ。
本書によると、この仮定は七十年代に否定されている。
それにも関わらず、なぜ今でも正規分布が持て囃されているのだろうか。
正規分布が真の分布の良い近似になっているの分野ではもちろん使えばいいのだけれど、金融工学のようなそうではない(恐らくそうではなさそうな)分野でも使われ続けているのはなぜだろうか。
理由の一つは、計算が容易であるということ。
正規分布を仮定すると、美しい解析解が得られる。
このことは回帰分析の過程を追ってみると分かる。
それから、もう一つ。
理解が容易であるということもあるんじゃないだろうか。
エイモス・トバースキーとダニエル・カーネマンによれば、人びとは、自分に理解できない案は、そこに内在するリスクに関係なく「リスクが大きい」と判断し、理解できる案は、内在するリスクに関係なく「リスクが小さい」と判断する傾向があるという。よく分からないものには手を出したくないという気持ちは分かる。
『イノベーションのジレンマ』
でも、「理解できる/できない」と「事実に即している/即していない」とは、何の関係もない。