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Self-Reference Eminem / EMINEM - Revival

Eminemの9枚目のスタジオアルバム "Revival"を聴いている。

"Encore"後、入院を経て"Relapse"で復活して、"Recovery"で歌い始めたと思ったら、"The Marshall Mothers LP2"で原点回帰して、そしてこの"Revival"。

よい。非常によい。いろいろ書いているけれど、単純に聴いていてかっこいい。そうでなければ、こんなにしっかりと耳を傾けたりもしなければ、歌詞について調べて書いたりもしない。

というわけで、あとは自分向けの覚書の域を出ない。

一聴してすんなり入ってくるのは、"Relapse"以前も含めて、これまでの要素があちこちに散りばめられているからだと思う。

1曲目の"Walk on Water feat. Beyonce"は"Monster feat. Rhianna"と同じくポップスターとコラボしていてキャッチーだし、"Remind Me"は"Berzerk"のようなオールドスクールスタイルだし、"Offended"は"The Real Slim Shady"や"Without Me", "Rap God"を彷彿とさせる畳み掛け具合だし、"In Your Head"はイントロが"Stan"に近いものを感じる。"Untouchable"は、曲調は違えどテーマは"White America"と通底していると思う (この曲に限らず、色々な曲で人種について言及しているけれど)。

最後の"Untouchable"は先行リリースされたから1曲リピートしていたから気がついたのだけれど、"'Capped in America' like Steve Rogers 'Cause no one oversees these cops"のくだりが、明に暗にアメコミを連想させてくれておもしろい。まずスティーヴ・ロジャースといえば、キャプテン・アメリカだ。"Captain America"とは言わずに"Capped in America"と言っているのがおもしろい。アメリカ政府に抑えつけられた『シビル・ウォー』を思い出させてくれる。後半の"No one oversees these cops"は「誰もあの警察達を監督していない」というわけで、『ウォッチメン』の「見張りを誰が見張るのか」を連想する。"River feat. Ed Sheeran"でも"Spider-man"って聞こえるところあるし、こっちも調べてみようかな。

あと、あちこちで過去作に自己言及しているのも気になる。これだけ売れているから賛否いろいろあるだろうけれど、自分ではどう言っているのかな、と。

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