『平成の大改刻』(iOS版)を読んだ。配布チャネルはアプリだけれど、コンテンツとしては書籍。紙の書籍も電子書籍(ePub)も売られている。
タイトルにある「改刻」とは印の面を削り新たに彫刻すること。この本では、活字の文脈なので印字を改めることになる。もちろん平成の今は印字は使われていない。改める元は印字だが、改める先はいわゆるフォントになる。
この改刻プロジェクトの対象となる字体は、秀英体。明治時代から100年以上使われてきたけれど、時代に合わせてメンテナンスされてはきたものの、今の小さく高精細な画面にそぐわなくなってきていたのがキッカケのようだ。これを機会に、金属活字を見直して、そこからフォントを作ったらしい。
「神は細部に宿る」というけれど、本当に細かい調整をしていることがよく分かる。説明とともに比較されれば、分からないような改良が積み重ねられている。でも、確かにトータルの印象がずっとよくなっているように感じられるのだから不思議。全体のバランスがよくなっているんだろうな。
こういう細部に違いがあることを知らされると、フォントをじっと観察したくなる。