「『コロンビアーナ(原題: Colombiana)』を観た。リュック・ベッソンがプロデューサー兼脚本の、バトルヒロインもの」
「バトルヒロインものって……」
「冗談はさておき、昨日観た『ボーン・レガシー』よりよほど格闘していたような」
「印象の差かもしれませんね」
「それはあるかも。大きな期待より小さかったか、小さな期待より大きかったか」
「アンカリングですね」
「そういう意味では、この映画もリアリティを期待したら、白けてしまうかも。俺は強引に感じたところもあったけれど、『ねーよ!!』って展開を真面目な顔してやりきるのも嫌いじゃないので、オッケーだったけれど」
「もとより〈復讐〉って、弱者が強者に反撃する物語じゃないですか」
「そうだね」
「その骨子からしてファンタジーを内包していますよね。強者はその権力を使って、その地位を盤石にできる正のフィードバックが働くので、その序列は簡単には覆りません」
「そう言えば、大富豪って開始前に〈大富豪の要らない手札2枚と大貧民の手札強い方から2枚〉、〈富豪の要らない手札1枚と貧民の最強の手札〉ってルールだから、一度ハマると全然抜けらんないよね」
「酷い格差社会もあったものです」
「おかげで同じ数字が揃ったりするから、8切りからの同じ数字複数枚出しで復活できたり、とか有利にはたらくことも無きにしもあらずなんだけれどねー」
「その〈勝てるかも知れない〉という希望こそ、足枷なのかもしれませんよ?」
「それに薄々勘づいているからなのかな、復讐にカタルシスを感じるのは」