スキップしてメイン コンテンツに移動

リベンジの利便

コロンビアーナ [Blu-ray]
「『コロンビアーナ(原題: Colombiana)』を観た。リュック・ベッソンがプロデューサー兼脚本の、バトルヒロインもの」

「バトルヒロインものって……」

「冗談はさておき、昨日観た『ボーン・レガシー』よりよほど格闘していたような」

「印象の差かもしれませんね」

「それはあるかも。大きな期待より小さかったか、小さな期待より大きかったか」

「アンカリングですね」

「そういう意味では、この映画もリアリティを期待したら、白けてしまうかも。俺は強引に感じたところもあったけれど、『ねーよ!!』って展開を真面目な顔してやりきるのも嫌いじゃないので、オッケーだったけれど」

「もとより〈復讐〉って、弱者が強者に反撃する物語じゃないですか」

「そうだね」

「その骨子からしてファンタジーを内包していますよね。強者はその権力を使って、その地位を盤石にできる正のフィードバックが働くので、その序列は簡単には覆りません」

「そう言えば、大富豪って開始前に〈大富豪の要らない手札2枚と大貧民の手札強い方から2枚〉、〈富豪の要らない手札1枚と貧民の最強の手札〉ってルールだから、一度ハマると全然抜けらんないよね」

「酷い格差社会もあったものです」

「おかげで同じ数字が揃ったりするから、8切りからの同じ数字複数枚出しで復活できたり、とか有利にはたらくことも無きにしもあらずなんだけれどねー」

「その〈勝てるかも知れない〉という希望こそ、足枷なのかもしれませんよ?」

「それに薄々勘づいているからなのかな、復讐にカタルシスを感じるのは」

このブログの人気の投稿

神のいぬ間の選択 - マギ(37)[完]

『マギ(37)』を読んだ。これにて完結。 この巻だけに関して言えば悪くなかった。最終章に入ってからここに至るまでが、自分にはついていけなくて悪い意味で超展開だったのだけれど。 完結巻ということで、どんな話だったっけかざっと振り返ってみた。 1~2巻 アラジン、アリババ、モルジアナが出合って、迷宮 (ダンジョン) 攻略。アリババがジン・アモンに選ばれる。そのあとバラバラに。 3~8巻 3人が合流してバルバッド編。アル・サーメンの存在が明るみに出る。合流するまでにアラジンと煌帝国の白瑛が出合う (3巻)。紅玉、ジュダルの登場もこの時期。 9~12巻 一行はシンドリアへ。そこでアラジンがマギとして、アリババに力を貸す宣言をする (9巻)。白龍登場。アラジン、アリババ、モルジアナといっしょにザガンの迷宮へ。迷宮攻略後、再びアル・サーメンと対峙。撃退後、アラジンはマグノシュタットを、モルジアナは故郷を目指す。アリババは悩み中。白龍も帰国。紅覇、紅名、紅炎の顔見せ (12巻)。 13~15巻 シンドバッドが紅玉との模擬戦でゼパルの能力を使う(13巻)。アリババはレームへ行くことへ。一緒に出発するも、解散する前に海賊に襲われる。ここで白龍の目的が母・玉艶の殺害と判明。レームのアリババ、ユナンの元を訪れたモルジアナ、煌帝国に帰国した白龍のエピソードを挟み、マグノシュタット編開始。 16~20巻 マグノシュタット編。端折ると、世界統一を目指す煌帝国が攻めてきたが、マグノシュタットの反撃手段が、アル・サーメンに仕組まれていたためイル・イラーを降臨させかねない事態に。両国が協力、アラジンも駆けつけ、シンドバッドも介入。一緒にモルジアナとも再会。最終的に、アラジンがソロモンの知恵を使い、イル・イラー降臨の依り代となっていたマグノシュタット学長たちのルフを還して、事態が収束する。 21~24巻 アリババがバルバッドの状況を見て煌帝国・紅炎に、紅玉にゼパルを仕込んでいることを知りシンドバッドに相容れないところがあると知る。そしてアルマトラン編突入。紅炎が協力の見返りに、アラジンからアルマトランの秘密を聞き出す形で始まる。結果的には、ダビデが意図的に息子ソロモンに負ける。ソロモンが世界の法則を変えた代わりに人間性を失う。ソロモンの妻であり、マギの一人でもあるシバが采配を奮う...

北へ - ゴールデンカムイ 16

『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

Memory Free - 楽園追放 2.0 楽園残響 -Goodspeed You-

『楽園追放 2.0 楽園残響 -Goodspeed You-』を読んだ。映画 『楽園追放 -Expelled from Paradise-』 の後日譚にあたる。 前日譚にあたる『楽園追放 mission.0』も読んでおいた方がいい。結末に言及されているので、こちらを先に読んでしまって後悔している。ちなみに、帯には「すべての外伝の総決算」という惹句が踊っているけれど、本作の他の外伝はこれだけ [1] 。 舞台は本編と同じでディーヴァと地球だけれど、遥か遠く外宇宙に飛び立ってしまったフロンティアセッターも〈複製体〉という形で登場する。フロンティアセッター好きなのでたまらない。もし、フロンティアセッターが登場していなかったら、本作を読まなかったんじゃないだろうか [2] 。 フロンティアセッターのだけでなくアンジェラの複製体も登場するのだけれど、物語を牽引するのはそのどちらでもない。3人の学生ユーリ、ライカ、ヒルヴァーだ。彼らの視点で描かれる、普通の (メモリ割り当てが限られている) ディーヴァ市民の不自由さは、本編をよく補完してくれている [3] 。また、この不自由さはアンジェラの上昇志向にもつながっていて、キャラクタの掘り下げにも一役買っていると思う。アンジェラについては前日譚である『mission.0』の方が詳しいだろうけれど。 この3人の学生と、フロンティアセッターとの会話を読んでいると、フロンティアセッターがフロンティアセッターしていて思わず笑みがこぼれてしまう。そうして、エンディングに辿りついたとき、その笑みが顔全体に広がるのを抑えるのに難儀した。 おめでとう、フロンティアセッター。 最後に蛇足。関連ツイートを 『楽園残響 -Goodspeed You-』読書中の自分のツイート - Togetterまとめ にまとめた。 [1] 『楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選』は『楽園追放』と直接の関係はない。映画の脚本担当・虚淵玄さんが影響を受けたSF作品を集めた短編集。 [2] フロンティアセッターは登場しないと思って『mission.0』を読んでいない。 [3] 本編では、保安局高官の理不尽さを通して不自由さこそ描かれてはいたものの、日常的な不自由は描かれていなかったように思う。アンジェラも凍結される前は豊富なメ...