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SNSのSN比

情報の呼吸法 (アイデアインク)『情報の呼吸法』を読んだ。vol.8から購読し始めたメールマガジン 『津田大介の「メディアの現場」』は毎週読み応えがあるし、本書の前の単著『Twitter社会論』(感想) も面白かったので。電子書籍版は待ちきれなかった。

印象的だったのは、次の一文。
だから、学生時代は書籍よりも雑誌――つまり「今を切り取るもの」に関心がありました。
雑誌よりも書籍――「残り続けるもの」に関心があった自分とは正反対。科目で例えると、公理・定理・法則が変わらない数学や物理は好きだったけれど、近い将来変わる人口などを覚える地理には関心が薄かった。

でも、『情報を「振り返る」というリテラシー』という節も『古典を読んで情報の偏りを是正する』という節もあるので、関心の先は「今だけ」ではないのだろう、と思う。考えてみると、これらによって「今から残り続けるもの」が見えてくるはず。「将来も意味があるもの」という括りでは、正反対でもないのかもしれない。

もう一つ面白かったのが、「誤配」の話。自分が好きな情報だけが集まるようなタイムラインにしていたら、似たような情報しか入ってこなくなる。だから、「まったく考えの違う人もフォローするとよい」という意見に賛成。

実際フォローしたところで、結構な割合で反射的にノイズと見なして流してしまいがち。人には、自分に都合の良い情報にだけ注意が向く傾向 (確証バイアス) がある。

ただ、タイムラインにそういう人が現れても気にならない量に、個人差がありそう。自分の場合、そういう人に苦手意識があってストレッサーになるくらいなら、別の方法を考える。きっと古典を読む。『津田大介の「メディアの現場」vol.18』の『5. 140字で答えるQ&A』のQ5でも、次のような答えがある。
もうちょっと現実的な話をすると、俺は今まで「自分をいかに苦手な人や嫌な人とかかわり続けなければいけない立場に置かないか」を重視してやってきたんですね。要所要所でそういう人と接することはいくらでもあるけど、ずっと関係を継続しなきゃいけない状況に置かれるのは、俺は絶対耐えられない。
でも、もしかしたら、ある問題について「誤配」でずっとその問題に取り組んでいる人を知って、苦手なタイプだったけれどフォローしておいたらその問題の進展が流れてきて「振り返る」キッカケになるなんてこともあるかもしれない。

たまたま見かけた人が実は自分にとって重要な情報をそれと知らず持っていたなんて、物語だったらご都合主義だと誹られかねないけれど、twitterをはじめとしたSNSは、それが現実に起こる可能性を押し上げている。単に眺めては呟いているだけで楽しい上に。

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