『高慢と偏見とゾンビ』 を読んだ。 訳者あとがきによると、本書は「いわゆるマッシュアップ小説」だそうだ。 どこが「いわゆる」なのか正直よく分からないけれど、「マッシュアップ小説」という形容は、その通りだと思う。 マッシュアップと言えば、ヒップホップの文脈では、別々の曲のボーカルとトラックを組み合わせて、あたらしい曲を作る手法のこと。DJ Danger MouseのThe Grey Albumを思い出す。ちなみに組み合わせたのは、Beatlesの "The Beatles (通称White Album)" とJay-Zの "Black Album" 。 プログラミングの分野では、別々のWebサービスからAPIを呼び出して、一つのWebサービスを作り出す手法のことを指す。今では当たり前にあちこちからAPIを呼び出しているから、ことさら強調しなくなった気がする。このブログでもtwitterのAPIを呼び出して、右下に最近のtweetを表示させている。 本書では、 『高慢と偏見』 という有名(らしい)作品に、何を思ったかゾンビパウダーをまぶしてしまった。 その結果、なんのバイオレンスもなさそうな18世紀末のイギリスの片田舎を舞台とした恋愛小説が、少林拳の使い手である主人公イライザがでカタナでばっさばっさとゾンビを斬り倒すバトル・ヒロインものに激変してしまった。 これも訳者あとがきの情報なのだけれど、「過去の名作の文章を八割以上そのまま」残しているらしい。 あまりにも衝撃だったので、二匹目、三匹目のどじょうが出てこないか心配になる。 『罪と罰とゾンビ』とか『老人と海とゾンビ』とか『ロミオとジュリエットとゾンビ』とか『バカとテストと召喚獣とゾンビ』とか『これはゾンビですか?とゾンビ』とか。 追伸 ググってみたら、同じ事を考えている人が見つかったのはともかく、既にほぼそのままのタイトルのインディーズ映画があったのには驚いた。