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5月, 2015の投稿を表示しています

剣聖と剣製 - Fate/stay night [Realta Nua]

「 『Fate/stay night [Realta Nua]iOS版』 をプレイしたよ。セイバールートが期間限定で無料配信されていたもので」 「凜さんルートの[Unlimited Blate Works]と桜さんルートの[Heaven's feel]はどうするんですか? もうすぐ配信始まりますよね」 「考え中。凜ルートはアニメで観ているから消化プレイになっちゃいそう。一方、桜ルートは映画化されるみたいだけれど端折られそうだからプレイしておきたいところ」 「桜さんは『Fata/Zero』では酷い目に遭っていましたよね……」 「うん。『Fate/stay night』だとあんなに普通に振る舞っているのに。間に何があったんだろう」 「それも気になりますけれど、桜さんルートがどうなっちゃうかも気になるところです。ハッピーエンドになるんでしょうか……」 「だといいなぁ」

大地に立つ - 牛久大仏

「牛久大仏を観てきたよ。デカいとは聞いていたけれど、想像以上にデカかった。ビックリするのを通り過ぎて笑ってしまった」 「本当に大きいですね」 「足下から見上げるとこんな感じ。重機動如来 を思い出す」 「なんですか、重機動如来って……」 「『ブライトライツ・ホーリーランド』に出てくる巨大仏メカ。百手巨人にドロップキックかまして仏足跡を残す。牛久大仏も、末法が来て世が乱れたら動きだすに違いない!!」 「動きません!!」 「それにしても不思議な空間だった。一番目立つのはもちろん大仏なんだけれど、足下には花畑や小動物公園もあれば、お土産屋さんもあるし、ノリが観光地」 「写真は小動物公園のタイワンリス。このあと足に飛びつかれてビックリした」

Incompatible - ソラリスの陽のもとに

『ソラリスの陽のもとに』を読んだ。 惑星ソラリスで、生きているように推測される〈海〉とコミュニケーションしようとするSF。いわゆるファースト・コンタクトもの。 海の人間との断絶の深さに、〈ナイトウォッチ〉シリーズの虚空牙を連想する。人間の味方でも敵でも、超越した神のような存在でもなく、ただただ異質。 設定はSFなんだけれど、海の人間への接触形式のせいで文学的・哲学的な印象。中盤から終盤にかけて、内省的な地の文が目立つ。 だから語られないのに、〈海〉の異質さが際立つ。取りつく島がない。

Hierarchical Architecture - ルーヴル美術館展

『ルーヴル美術館展』 に行ってきた。副題は『日常を描く――風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄』。 フランス王立絵画彫刻アカデミーでは絵画をジャンル分けして、ヒエラルキーを構成する理論を作っていたらしい。歴史画が最上位で肖像画が次点。そこから風景画、静物画と続く。本展でフォーカスされている風俗画は、階級構造が作られた当初は顧みられることさえなかったとのこと。 風俗画というと日常の風景を切り取ったものと思っていたけれど、それだけに留まらなかった。むしろ、そうでないものの方が多かったくらい。沢山の作品には、象徴あるいは記号(シンボル)が描かれていて、教訓めいたメッセージが込められていた。ちょっと説教臭い。 こういう蘊蓄も面白かったけれど、写実的に描かれた服や動物のテクスチャの緻密さとか、窓から差し込む光が作る雰囲気とか、眺めているのも楽しかった。ただ、人が多くあまり落ち着いて観られなかったのが残念(休日昼前まで寝ていたせいで)。

Unpredictable - その女アレックス

『その女アレックス』を読んだ。「本屋大賞」とか「このミステリーがすごい!」などのランキングの該当部門で1位になっているとのことで、詰まらなくはないだろうと思って。 実際、詰まらなくはなかった。先が気になって一気に読んでしまった。三部構成で各部で前の部の印象がことごとく覆されていく。 でも、読み終えたときの満足感は今ひとつだったりする。読まされた感がある。よく売れている小説を読んだときにまま抱く感想。 ミステリィだと思って読んだからかもしれない。伏線無しで後から新事実が出てくるから、自分の感覚ではミステリィというよりサスペンス寄り。 自分がミステリィに期待するどんでん返しは、結末を知るとこれまで読んできた文章が違う意味を持つことなんだけれど、この作品はこれまで読んできた文章が意味を持たなくなってしまっている。 うーん、どんでん返しがあればいいってもんじゃないんだよなぁ……。論理的には予想し得るんだけれど予想できないのが好きなので。

よっしゃ初夜 - ヴォイニッチホテル III

『ヴォイニッチホテル Volume III』を読んだ。 もう少し長く続いて欲しかったし、もう少し長く続くと思っていた。魅力的な登場人物が、それくらい沢山いた。 それなのにこんなりあっさり終わってしまった。寂寥感さえ覚える。 でも、不満が残っているかと言うとそうでもない。みんなにフォーカスが当たって、その後が語られている。これ以上はきっと余韻を奪う蛇足になってしまいそう。 だから、これでいいと思う。これが良いと思う。そう思うことにした。

ミルキーイベント - キルミーベイベー6, 7

「『キルミーベイベー』の新刊がKindleで配信されたぜ、それも6, 7一気に!!」 「『7』は先月末に発売されたばかりなのに、速いですね」 「絵柄が可愛いから誤魔化されているけれど、ホラーの回は普通にホラーだよなぁ」 「7の廃アパートの回なんかそうですよね」 「あぎりさんが相変わらずフリーダムだ。別の意味で恐い」 「大事なところで間違えて致命的な自体を招いていますよね」 「あれわざじゃなかろうか……」

ジーンパンク - リヴァイアサン、ベヒモス、ゴリアテ

〈リヴァイアサン〉3部作――『リヴァイアサン』、『ベヒモス』、『ゴリアテ』を読んだ。 スチームパンクと言うかジーンパンクと言うか。第一次世界大戦を下敷きに、蒸気機関を発達させたドイツを中心としたクランカーと、遺伝子工学を発達させたイギリス中心のダーウィニストの対立が描かれている。特にダーウィニストが駆使する生物の描写が面白い。筆頭が第1作のタイトルになっている巨大生物航空艦リヴァイアサン。ワクワクする。 こういうSF的な世界の魅力に加えて、このシリーズはキャラクタも魅力的だった。筆頭はヒロインのデリン。ヒーローのアレックよりよっぽど男前だった。しかも健気で可愛い。次点はヒーローのアレック――ではなく彼の父に忠誠を誓って彼を支えるヴォルガー。アレックのために行動しているのだけれど、台詞が皮肉たっぷりだったりするのが素敵だ。アレックはもうちょっとしっかりして欲しい。終盤の終盤までお坊ちゃん気質が抜けていないのか、何かと迂闊でやきもきする。 このシリーズはこれで完結とのことだけれど、この世界の物語がもっと読みたくなる。外伝とか出ないかなぁ。

個人・故人・後塵・黄塵 - ビッグデータ・コネクト

『ビッグデータ・コネクト』を読んだ。『Gene Mapper』と同じ作者さんの小説。今度はSFじゃなくてミステリィ。ITセキュリティを扱っているので、 『檻の中の少女』 なんかを連想する。 描かれているのは、燃料全部入りの大炎上案件といった様相。PC遠隔操作事件に、取り調べ過程を見せず自白を偏重する警察、映像を共有する防犯カメラシステム、私企業の購買履歴システムと連携する自治体システム、その自治体の独善的な首長。そのシステムを受注した大手SIer、そこからの発注に次ぐ発注で形成される多重下請け構造。もちろんまともな設計なんてあるはずもなくデスマーチ。 娯楽小説なので、これらの問題を背景に大事件が起こって解決される。けれど、現実には明るみに出なかったり問題を認識している人はいるんだけれど有耶無耶にされたままだったりで、問題だらけのシステムが運用されてしまっていそうで恐い。

Soccer Body - フットボールネーション1-7

サッカー漫画『フットボールネーション 1-7』を読んだ。 CB (センターバック) やSB (サイドバック) をやっていたので、同じポジションの玉城や遊佐に肩入れして読んでいる。7巻で守備の話をしてくれて嬉しい。守備にフォーカスが当たることってあんまりないので。 相手と同じ距離を保ってズルズル下がるパターンは、確かに守備あるある。前屈みで正対しちゃうと、そうなりがち。ディレイがかかっているとは思うけれど、抜かれない代わりに好き放題展開されてしまう。左右両方はケアできないから、ワンサイド切って端に追いやりたいところ。 ところで、この漫画、インナーマッスルを強調していて、鍛え過ぎはむしろ害になるという主張しているけれど、クリスティアーノ・ロナウドやルーニーとかむっちゃ筋肉あるよなぁ。名選手は両方備わっているってことか?

ストライク・エキストラ - レッドスーツ

SF小説『レッドスーツ』を読んだ。 タイトルの〈レッドスーツ〉は、物語冒頭であっさり死んでしまうエキストラを指すスラング。その由来は『スタートレック』の保安部員の赤い制服。ミステリィやホラーだと、最初の被害者が該当するだろう。 この物語でも、冒頭で〈レッドスーツ〉が死んでしまう。でも、もちろんこの物語はそのまま素直に進んだりはしない。〈レッドスーツ〉の後任として、宇宙艦イントレピッド号に配属されたアンドルー達は、おかしなことが起きていると自覚してしまう。 まず、イントレピッド号がやたらと苦境に陥る(ミステリィだと名探偵がやたらと難事件に巻き込まれるように)。それから、不合理な行動を取って死んでしまうメンバがやけに多い(ホラーで、わざわざ人目に付かないところに一人で行って殺されるように)。最後に、艦長をはじめ一部のメンバは決して死なない(いわゆる主人公補正)。 アンドルー達は遅かれ速かれこの現象に殺されると考え、その謎を解こうとする。明かされていく過程でメタ構造が重層化するのにクラクラしたり、終盤の不意を打たれる展開に揺さぶられたり、存分に楽しめた(詳しくは読んでみてのお楽しみ)。

Memory Fixer - マインド・クァンチャ

『マインド・クァンチャ』を読んだ。〈ヴォイド・シェイパ〉シリーズの5冊目にあたる。これでシリーズ一段落とのこと。 当初予定していたストーリィはここまででしたので、これでシリーズ完結としても良いと思っています。次も書くかどうかは、まだ決めていません。 浮遊工作室 (ミステリィ制作部) これを機にシリーズを振り返ってみる。自分の関心が、孤独に考えることと社会のしがらみに囚われることに向けられていることが分かる。 『ヴォイド・シェイパ』 『ブラッド・スクーパ』 『スカルブレーカ』 『フォグ・ハイダ』 『マインド・クァンチャ』 『フォグ・ハイダ』の感想で考えないことについて考えていたら、この『マインド・クァンチャ』でゼンも正にそのことについて考えていた。比較できて、自分の考えの相対的な位置をクリアにできた。 最大の違いは、考えていないときの記憶だと思う。自分は断片的にしか覚えていない。だから、流れを覚えているゼンと違って、振り返りが曖昧になる。これでは経験を次に活かしにくい。ミスを繰り返しても、幸いにも真剣で斬り合いをしているわけじゃないので、命を失ったりはしないけれど、別の何かを失っている気がする。 考えていないときの経験を振り返るには、どうしたらいいのかな。どうにかしての、考えていないときの判断を後から考えながら振り返るようにできないかな。

サイバー・バラード - サイバラバード・デイズ

『サイバラバード・デイズ』を読んだ。次の7篇で構成されている短篇集。 サンジーヴとロボット戦士 カイル、川へ行く 暗殺者 花嫁募集中 小さき女神 ジンの花嫁 ヴィシュヌと猫のサーカス 各篇がそれぞれ面白いだけじゃなくて、同じ世界の話でゆるやかに繋がっているところがまたいい。とくにゆるやかなところが。 それぞれこぢんまりとまとまっているのかと思いきや、大きな仕掛けもあるところがまた素敵。

老翁の百年密封 - 機動戦士ガンダムUC 7

「『機動戦士ガンダムUC 7』を観たよ」 「あれ、『6』はどうしたんですか?」 「観たんだけれど、感想を書き忘れたみたい。そしてもちろん内容も忘れている」 「もちろんじゃないですよ。『6』から観た方がよかったんじゃないですか」 「『1』から30分ずつに編集して毎週放送してくれないかな」 「そういう放送するのありましたね」 「『空の境界』や『攻殻機動隊ARISE』がそうだね。ただでさえ鳥頭なのに間が空くとどんどん忘れちゃうから、週1くらいがちょうどいい――いや、週1でも観たの忘れているときあるな」 「もうどうしようもないですね……」 「ともあれ、再生してみれば意外と思い出すもんよ。というわけで、きっと深く味わえてはいないと思うけれど、自分なりに楽しめたよ」 「それは何よりです。しかし、その楽観はどこから出てくるのやら」 「ようやくアースノイドとスペースノイドの対立とかそのあたりにも少し目が行くようになってきた気がする。子供だった時分からモビルスーツの格好良さに観ていて、この架空社会上の出来事にはほとんど関心を払ってこなかったけれど」 「多少は視野が広がった、ということでしょうか」 「それにしても、やっぱりフルアーマーはいいなぁ」 「まだ視界の端みたいですね……」 「そんなに簡単に重心は変らんさー」

銀の刃物 - 龍三と七人の子分たち

『龍三と七人の子分たち』を観た。 『グラン・トリノ』 に続き引退した老人の話。 引退したのは軍隊じゃなくてヤクザだけれど。他にも色んなところで対照的な映画だった。共通しているのは息子とうまくいっていないところくらいか。 コミカルで面白かったのだけれど、よくよく考えると老人は恐い。まず、このコピー。失うものがないと何だってできるよなぁ。 「金無し、先無し、怖いもの無し! ジジイが最高!!」 「俺たちに明日なんかいらない!!」 それに、常識も理屈も通じなかったりする。何が通じるんだ。 ヤクザ映画と言えばヤクザ映画で、ほとんど「全員悪人」なあたり、 『アウトレイジ ビヨンド』 のセルフパロディなんだろうか。

トリを飾る - グラン・トリノ

『グラン・トリノ』を観た。クリント・イーストウッド監督・主演作品。 妻に先立たれた年金暮らしの退役軍人ウォルト・コワルフスキーの話。彼とお隣さんのロー一家との交流が描かれている。遠くの親類より近くの他人とはよく言ったもので、息子とはうまくいってない一方で、文化の異なるロー一家――とくに長男タオに色々と伝えていく過程が感慨深い。 これだけ取り出すと温かい話なんだけれど、いちいちロー一家の親戚がメンバのギャングが絡んで来るから終始不穏な空気に包まれている。ウォルトは、銃を持ち出して追い払ったり、警告(というか脅迫)に行ったりと、まるで『ダーティー・ハリー』の老後みたい。 ただ、舞台はニューヨークやロサンゼルスあるいはサンフランシスコのような大都市じゃなくてデトロイトだし、ギャングも裏社会を支配しているような巨大組織じゃなくて地元でつるんでいる程度の小悪党。そこに住む小市民には、十分な脅威なのだけれど。 それによりも大きな違いは結末。ロー一家への報復を招いてしまったウォルトの悩みと選択、そして結末がやるせない。

比類なき悲しみの類い - 悲録伝

『悲録伝』を読んだ。これにて〈伝説〉シリーズ四国編ようやく完結。長かった。 『悲鳴伝』 の時は続きが出るかどうかも不確かで 『いつでも書きたい巨編』になっている なんてあとがきにあったのに、その次がいきなり5巻構成の大巨編。前菜の次にいきなりメインディッシュが出てきた気分。 さらに巻末には続刊の予告が。それも4冊も。タイトルは刊行順に『悲亡伝。『悲衛伝』、『悲球伝』、『悲終伝』。〈物語〉シリーズの前例があるから、『悲終伝』で終わるとは限らないし、終わらなさそうな気がする。前日譚を描いた『悲礼伝』とか出たりして。 構成への感想はこれくらいにして、内容への感想も少しは。 結末は2つの点で意外だった。まず地球陣との戦いに繋がったこと。四国編は地球との対決ではなさそうだったのに、ちゃんと繋げてきた。次に、結末。タイトル通り悲しいと言えば悲しいのだけれど、恐れていたよりは惨たらしくはなかった。つまりあんまり人が死んでない。 今回生き残った魔法少女たちは、続編でどう絡んで来るのか(それとも絡んでこないであっさり退場するのか)。そして何より主人公・空々空と、今回消え損なった悲恋の関係はどうなっていくのか。

宵闇の意味 - ドラキュラ ZERO

『ドラキュラZERO』(原題 "Dracula Untold") を観た。 ドラキュラのモデルとなったと言われる串刺し公ヴラドが主人公でさらには吸血鬼になってしまうところが、伝奇物好きには堪らない。架空の世界ではなくてこの世界が舞台で実際の歴史が下敷きになっていたりすると、何か楽しい。 絵的には蝙蝠関連が格好良かった。自分が蝙蝠に化けたり、森の蝙蝠を手足のように操ったり、軍勢を一人で蹴散らしてしまうシーンが爽快。やっぱり夜の吸血鬼は圧倒的に強くてナンボだ。 思えば、吸血鬼物は結構久し振りだ。映画だと、『リンカーン/秘密の書』以来だからやく2年振り。あ、漫画も含めると、先月『亜人ちゃんは語りたい』を読んだばかりだったか。全然怖がられていないから、あまり吸血鬼ものっぽくないけれど。

理事長の帳尻 - 暗殺教室14

『暗殺教室14』を読んだ。 登場当初から緊張をはらんでいた浅野父子――理事長・學峯と生徒会長・学秀が、決定的に違う道を歩み始めた。父學峯の哲学は貫かれていて、学秀が離れていった形。 それをきっかけに結果的に、學峯と殺せんせーが直接対決する運びに。學峯は6巻で初登場して以来、ちょくちょく姿を見せてはいたけれど、常に前に別人を立てていたので、いまだ底が知れない。 本巻ラストで追い詰められたように見えるけれど、切り返してくるのかな。このまま素直に敗れるようには思えないし、もう少し強大なボスとして立ちはだかっていてもらいたい。規格外の殺せんせーに対して、目的のためには手段を選ばず張り合うところを見せて欲しい。

リスを撮影する

ハイイロリス。食べ方がかわいい。 伸びているとき、尻尾は頭の上らしい。 こちらはプレーリードッグの子供。ドッグって名前だけれど、リス科。むっちゃ食べ物奪い合ってる。

実装の実相 - リスを実装する

『リスを実装する』を読んだ。『後藤さんのこと』っぽかった。 『後藤さんのこと』が量子論を囓っていると元ネタに思い当たって面白いように、この短篇はプログラミングを囓っているとより面白いと思う。 例えば、コールスタックの深さに関連して『インセプション』を思い出す。スコープの外に思いを馳せることができるのって、何のおかげなんだろう。

ヴィランのいないヒーロー - バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(原題 "Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance"))を観てきた。 メタ・ヒーローものを期待して観に行ったら、能力を持っていることは主題じゃなかった。おっさんが主人公の 『クロニクル』 とか 『キック・アス』 みたいなのを期待していたのに。あるいは、『サムライ・フラメンコ』。 よく言えばハイコンテキスト。悪く言えば内輪ネタ。端的なのが主人公リーガン・トムソンと彼を演じるマイケル・キートンの経歴。作中作のヒーロー映画『バードマン』で主役を演じた元スターを、ティム・バートン版『バットマン』で主役を演じた俳優が演じている。こういう内輪ネタを、酷い方向に振り切ると『ムービー43』になる気がする。 自ら演出・主演する形で舞台俳優として認められようとするけれど、バードマンの声に悩まされる様は、 『ブラック・スワン』 を思い起こさせる。繰り返し写る『オペラ座の怪人』の看板の白いマスクとバードマンの黒いマスクという白と黒の対比もあるし。 こんな風に、話にはひっかかるところが多かった。一番ひっかかったのはヒーロー映画を批判しているがゆえに、ヒーロー映画やそのヒットに依拠しているところ。しかも冒頭でも書いたように、ヒーローである必然性はない(少なくとも自分にはそう見える)。ずるいよなぁ。 一方、映像と音楽は文句なしに良かった。 まず映像。2時間ほぼワンカットに見える。調べて見ると、撮影監督が 『ゼロ・グラビティ』 と同じエマニュエル・ルベツキという方らしい。ゼロ・グラビティの冒頭のカットも長かった。そう言えば 『ニーチェの馬』 も長回しでワンカットが長かった。ワンカットが長いと、息をつくタイミングが分からないから、どんどん緊張が高まっていく。 それから音楽。ジャズドラムが格好良かった。映像とシンクロしているのがまたいい。特に、主人公リーガンが、苛立ちのあまり足音を高くして歩き乱暴に扉を開けるシーンのカタルシスたるや。余談だけれど、ちょうど同時期に公開されている『セッション』はジャズドラムが主題らしいので、ちょっと気になってきた。余談ついでにドラム映画というと 『77 Boadrums』 を思い出す。 面白くないことはなかったけれど