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浪速には罠 - ナニワ・モンスター

ナニワ・モンスター『ナニワ・モンスター』を読んだ。『輝天炎上』を読んだ時は、あと『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』、『極北ラプソディ』を読んだら、『カレイドスコープの箱庭』に進もうと思っていたのだけれど、『極北ラプソディ』を読んだらこれも読みたくなって。思いがけず『ブレイズメス1990』、『スリジエセンター1991』とも繋がりがあって、驚いた。

本作は三部構成になっている。第一部では医療が舞台。開業医の菊間や検疫官・喜国が中心に描かれる。第二部では検察・警察が舞台。浪速地検の・鎌形や警察庁の斑鳩が中心となる(斑鳩は『輝天炎上』まで出ばり続ける)。第三部は政治が舞台。大阪府知事・村雨やスカラムーシュ・彦根が中心となる。

各部でテーマが切り替わるせいで散漫な印象。自分がよく楽しめたのは第一部。テーマが生活に直結している疫病対策だからだろう。第二部以降は政治色が強くなってきて、苦手意識が先に立ってしまった。〈田口・白鳥〉シリーズだと白鳥という現実主義の変人がいるおかげで面白いのだけれど、彦根の話は大き過ぎてちょっとついていけなかった。

でも、『輝天炎上』に至るまでの流れが掴めてスッキリした。あとは『カレイドスコープの箱庭』を読んで一区切り。と思ったら、『スカラムーシュ・ムーン』という連載も進んでいることや、『アクアマリンの神殿』という新刊が出ていること、その前作『モルフェウスの領域』を読んでいないことにも気がついたり、と芋づる式に関連作品を読みたくなってくる。うまいなぁ。

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『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

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