「『Gene Mapper -full build-』を読んだよ」
「『Gene Mapper -core-』の改稿版ですね」
「うん。元はKindleで個人出版された中篇だったのだけれど、人気が出て長篇として出版という運びになったらしいよ」
「どうでしたか?」
「この辺りの作品を思い出したよ」
「食糧を扱った作品ですね」
「Yes. どれも、設計された遺伝子を持つ作物を巡る物語」
「この作品もタイトルがそれを現していますね」
「そういう重いテーマもあるけれど、〈複合感覚行動 (フィジカル・ミクスト・アクティビティ)〉という外連味のある設定もあって、娯楽要素もあって読みやすかったよ」
「〈複合感覚行動〉ってどんな設定?」
「拡張現実の〈アバター〉と違う行動を現実の肉体に取らせる技能のこと」
「小説ならでは、ですね」
「うん。拡張現実の中からでは、動きは何も見えないからね。逆に現実世界では、棒立ちしている相手を一方的に倒すことになっちゃう」
「映えませんね」
「達人同士の戦いだと、映画『シャドウゲーム』みたいになるのかな」