『イノベーションのジレンマ』 を読んだ。 原題は、"The Innotater's Dilemma"。確かにジレンマを抱えるのは人であり、現象ではない。 どうして微妙に変えるんだろう。イノベーターという単語に日本人は馴染みがないから? インベーダーと見間違えられそうだから? それはさておき。 本書は、今まで読んだ本の中で何度も言及されていたせいで、 読まないで読んだ気 になっていた。 けれど、読んでよかった。 あちこちで言及されているのも肯ける。 多くの大企業がパラダイムシフトを乗り越えられない理由を、本書は様々な視点から分析している。 ポイントは、破壊的技術は小規模市場で生まれ育ち、やがて大規模市場を形成する技術を代替するまでに至るところだと思う。 面白いのは、破壊的技術は開発されない点だ。 まず技術が先にあり、使い道は後からついてくる。結果的に既存技術が支配する市場を破壊した事実を、後付けでイノベーションだのパラダイムシフトだの呼んでいるに過ぎない。 では、なぜ技術が先行するのか。 この問いに対する答えは、次の引用で二つの十分だと思う。 「もし私が顧客に、彼らの望むものを聞いていたら」と、発明の才に溢れたフォード氏は言っていた。「彼らはもっと速い馬が欲しいと答えていただろう」 イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材 誰もガリレオに太陽系の説明を頼んだわけではありませんし、エンゲルバートにマウスを説明するよう頼んだわけでもありませんし、ベルに電話を作り出すよう頼んだわけでもありません。 『イノベーションの神話』 誰も未来を予測なんてできやしない。 イノベーションは ブラック・スワン だ。