ヨーロッパ型のブランドがある特定の個性を強い意志で保ち続けるのに対して、日本の日用品はマーケティングの反復によってどんどん「怠惰」で「ゆるみ」のある商品に変化していく。鶏が先か卵が先かという問題かもしれないけれど、消費者の方から「怠惰」や「ゆるみ」から脱することはできないのだろうか、と反論の可能性を考えた。
『デザインのデザイン』の著者はデザイナーだからか、『欲望のエデュケーション』――デザインによる欲望の制御を提案しているけれど、他に解決方法があるかもしれない。
消費者が「怠惰」で「ゆるみ」のある商品を買わないというのが、一つの方法だと思う。
そうすれば、マーケッティングによって商品は改善されるだろう。
小さなセグメントなら、マーケットからそのようなメッセージを発することが可能だと考える。
マーケティングの分解能が上がっているので、そのメッセージが拾われる可能性も高まっているだろう。
メッセージが届けば、残るハードルは、採算性と技術的な実現性の二つだ。
採算性が最大の問題だ。技術的な実現性は、個別の問題なのでここでは扱わない。
自分を含む消費者は、自分の日用品に対するこだわりにいくらまで余分に払う意思があるのだろうか?