「『ニンジンでトロイア戦争に勝つ方法~世界を変えた20の野菜の歴史(上)』を読んだよ。身近な野菜が重ねてきた意外な遍歴が面白い」
「どんな野菜が出てくるんですか?」
「上巻で紹介されているのは、アスパラガス、インゲンマメ、ビーツ、キャベツ、ニンジン、セロリ、トウモロコシ、キュウリ、ナス、レタスの10種類」
「ビーツは身近じゃないですよね。スーパーじゃ見かけません」
「訳書だからねー。あ、よく知っている野菜でも日本では珍しい品種も出てきていると思う。特徴を聞いてもピンと来ない時があった」
「所変われば品変わると言ったところでしょうか」
「この中だとナスの歴史が面白かったよ。野生種にはトゲがあるとか、最初で栽培が始まったのは紀元前のインドだとか、中国で栽培が始まった頃は薬として扱われていたとか、十三世紀のヨーロッパでは観賞用だったとか。アメリカの菜園で栽培されるようになったのは一九世紀に入ってかららしいよ」
「意外と最近なんですね」
「日本ではいつからなんだろう? と思って調べて見たら、奈良時代とか平安時代とか辺りっぽかった。結構古い」
「茹でても煮ても焼いても美味しいですよね。お漬け物でも定番ですし」
「漬け物だけは苦手だ。味は嫌いじゃないんだけれど、あれのせいで青くなったご飯、不気味じゃね?」
「それはナスの漬け物が苦手なのか、色が移って青くなったご飯が苦手なのかどちらなんでしょうか?」