スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

7月, 2014の投稿を表示しています

何が「そんなこと」なのか? - ムカシ×ムカシ

『ムカシ×ムカシ』を読んだ。ええっと、〈Xシリーズ〉何冊目だっけ? 前作の記憶が全くと言っていいほどなくなっている。ろくすっぽタイトルさえ思い出せない。調べてみたら、前作は『タカイ×タカイ』で発売されたのは約6年半だった。 そんなわけで、感想が朧気だけれど、もしかしてこのシリーズは動機に焦点を当てているのかもしれない、と想像する。本シリーズの小川さんの発想は、〈S&Mシリーズ〉の犀川先生や〈Vシリーズ〉の紅子さん、〈Gシリーズ〉の海月君とは対照的に描かれているように見える。 他シリーズでは、一見不可能に見える事件に対し、探偵役が現実に起こったことを合理的に説明できる唯一に見える推理を披露している。そこでは犯行の動機は取り沙汰されない。探偵役の関心が薄いこともあるのかもしれないし、そもそも説明可能な推理がそれしかないから、動機が何であれ問題にならない。皆無だろうが、事件を起こさないインセンティブがあろうが、他の可能性があり得ないならば、推理通りであるしかない。 これに対して、〈Xシリーズ〉はまず境界条件が曖昧。 吹雪の山荘 でもないので、行きずりの犯行という可能性だって消しきれない。本作に至っては、犯人特定の決め手はいたってありきたりだ。本格ミステリィにあるまじき決め手と言っていいと思う 。それくらい面白くない理由で犯人が特定される。 でも、本シリーズの味はそこから。探偵役(なのかな? 犯人は既に特定されている)の小川さんは動機に思いを馳せる。その動機が、とても人間的というか観念的というか。痴情のもつれとか金に目が眩んでとかではなくて(それらを見せ球にしつつ)、そういうのを期待していたら「は、何それ?」ってなるような動機が示される。ただ、本シリーズを読んでいる人なら、そこまで敵対的なリアクションはとらないような気がする。何となくだけれど。 できるだけ抽象的に言うと、認知的不協和をどうにかするために人はどうにでもしてしまうんだろうし、個人の認知を他人が伺い知るのは容易ではない。だから、思いがけない理由で想像もしない行動をとる他者が存在し得る。そういう話だった。

Dead Lock - 解錠師

『解錠師』を読んだ。 本書は金庫破りの少年の物語。構成が面白かった。刑務所に入れられた主人公の回想というだけなら、そんなに珍しくないけれど、本書の回想は2つの時系列に沿って交互に進んでいく。 1つは、金庫破りになるまでの物語。友人と出会ったり恋人が出来たりとまるで青春小説のよう。もう1つは金庫破りになってからの物語。犯罪に失敗して刑務所に入れられるまでが描かれている。終盤、2つの時系列が接近していくにつれて、ページをめくる手が止まらなくなる。 逮捕されるのは冒頭で明かされているのだけれど、やはりOne More Thingがある。犯罪者の話なのに、何だか爽やかな印象になっていて、どことなく釈然としないけれど、物語としてはとても綺麗でこれはこれでこうするのが最適だったように思う。とても素敵な幕引きだった。 一方で、やっぱりもう少し毒があってもよかったと思っているのは、毒されているからだろうか。

町動説 - それでも町は廻っている 1~6

「『それでも町は廻っている』を6巻まで読んだよ」 「『外天楼』を読んだ時に、これも読もうと言っていた漫画ですね」 「うん。これも負けず劣らず面白い。こちらの方が何回も読める気がする。『外天楼』が1冊できっちり終わって閉じているのに対して、タイトル通り廻り続けているから」 「ところでまたヒロインがメイドですね」 「ホントだ!! 言われてみると『ヴォイニッチホテル』のエレナもメイドだ!!」 「双司君、メイド好きですよね。『うちのメイドは不定形』も読んでいますし」 「メイド服に描きがいあるからなぁ。でもメイドなら何でもOKってワケじゃないよ。テケリさんはどちらかというとクトゥルフ枠だし」 「振っておいてなんですけれど、面倒そうなのでそれくらいで」 「…………」 「『それ町』はどうでしたか?」 「歩鳥がかわいい」 (やっぱりメイド好きなんじゃ……)

Shoot'Em Up - アリス・リローデッド (3) サクリファイス

『アリス・リローデッド3 サクリファイス』を読んだ。1, 2巻の感想は こちら 。 この巻も駆け足だった。1巻は駆け足だったけれど2巻でちょうどよいテンポになって期待していたのに。理由はあとがきに書いてあるけれど、このシリーズの魅力だけを考えると、勿体ない。1, 2巻がそんなに売れなかったのだろうか。それとも、理由が強烈だったのか。 この巻が面白かっただけに余計に残念。みんな、スポットライトを当てたら魅力的になりそうな面々ばかりなのに。特にロッキーことロクサーヌ。個人的に肩入れしていた上に2巻でスポットが当たり始めたように見えて期待していただけに、あっさりした描写であっと言う間に片付いてしまった、物寂しい。 ともあれ、これでシリーズ完結。あっという間だったなぁ。

目が星 - ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて

先日、『ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて』に行ってきた。 タイトルに[宇宙×芸術]とある通り、芸術――アートとの関わりがメインで新鮮だった。無重力環境での建築や衣服なんかはまだテクノロジー寄りだったから分かりやすかったけれど、身体表現(バレエ)や日本文化(茶道)まで行ってしまうとちょっとついていけない。その前に考えることがあるだろうと反射的には思う。でも、落ち着いて考えるとその前に考えることを考えられる人は、そういうことは考えらるのに向いていない(そして逆もまた然りな)ので、こうして分業するのが自然か考え直した。 宇宙をモチーフにした作品では、"echo-p"と"Fullness of Emptiness Integral"が面白かった。前者はマニ車――1回転させるとお経を1回唱えた分の功徳が積まれるという仏具をモチーフにしていて、1回転が宇宙一巡りに相当するという。膨張を続けている宇宙を一巡りするってどういうことだろう? と疑問は湧くけれど、スケールのがギャップが面白くて沢山回してきた。"Fullness of Emptiness Integral"は、宇宙線を感知して500個のLEDを明滅させるインスタレーション。宇宙から色々と届いているんだなぁと改めて実感する。太陽からの光や熱とか月の重力とか、当たり前過ぎて意識していなかった地球外からの影響を改めて意識する。 ところで、入ってすぐのところにMegastarが置いてあって、寝転がって見られるスペースがあった。思わずのんびりぼんやりしてしまった。本当に寝ちゃっていた人もいて微笑ましい。専用の施設じゃないし出入り自由だから、あんまり暗くなかったのが玉に瑕。先日ネットニュースで見かけた光の吸収率99.9%以上の素材 [1] で出来ていたら真っ暗にできそうだと思ったけれど、よく考えたらMegastarの光も吸収されちゃうから意味なかった。いいアイディアだと思ったんだけどなぁ。 [1] 黒すぎてブラックホール。史上最高の黒さを誇る新素材「超黒」が開発される : カラパイア

否が王でも - マギ22

「『マギ22』を読んだよ」 「この巻からアルマ・トラン編が始まったようですね」 「うん。でも、その前の王候補達のやりとりの方が面白かった」 「王候補というと、アリババさん、シンドバッドさん、練紅炎さんですね」 「アリババだけ貫禄ないよなぁ。シンドバッドや練紅炎と比べると」 「ちょっと頼りないところがいいんじゃないですか」 「アラジンの方がしっかりしてきているような気がするよ」 「見た目的にも随分と背が伸びましたしね」 「背が伸びたアラジンと言えば、最初に表紙を見たとき成長したアラジンかと思ったよ」 「アルマ・トランの方でしたね」 「続刊でアラジンとの関係が明かされるんかなぁ」

16人いる! - ナンバーガール 1

「『ナンバーガール 1』を読んだよ」 「バンド?」 「とは関係なくて、16人のクローンが出てくる4コマ漫画」 「16人も同じ顔が出てくるんですか。おそまつくん以上ですね」 「そう言えば、『てさぐれ! 部活もの』の萌舞子シスターズも沢山いたっけ」 「萌舞子さんたちは、6つ子×3で18人姉妹らしいですよ」 「萌舞子シスターズの方が多いのか。10人くらいかと思っていた。勢ぞろいした記憶がないからかな」 「この子たちは勢ぞろいするんですか?」 「勢ぞろいする機会はすくないけれど、同じ顔が同じ仕草しているコマがちょくちょくあるよ。繰り返しがパターン模様のようで面白い」 「実際に目の当たりにしたら怖そうですけれどね」 「そなんだよねー。この設定、マジメに考えるとハードSFできちゃう気がする。それはそれで面白そうだが」 「この後まさかの急展開で!!」 「それもう別のマンガやろ」

クマじゃんよ - BE@RBRICK ダンディ

「 BE@RBRICK ダンディ をゲットじゃんよ」 「 『スペースダンディ』 シーズン2で出てきた並行宇宙のダンディの1人ですね」 「あの回、すごいぶっ飛んだ発想だったなぁ。宇宙ひもを引っ張ったら平行宇宙からダンディが引きずられてくるなんて」 「宇宙ひもってそういうものでしたっけ……」

チーズ・チーズ・チーズ - figma 百江なぎさ

「 figma 百江なぎさ を買ったよ」 「 『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』 からの新キャラですね」 「魔法少女の姿ではねー」 「魔女としては出ていましたもんね」 「これで マミさん もボッチじゃない。もう何も怖くない‼」 「その台詞、不安になります」

Brick by Brick - BE@RBRICK × TRANSFORMERS Optimus Prime

「 BE@RBRICK × TRANSFORMERS Optimus Prime を買ったよ」 「変形できるんですか?」 「ちゃんと変形するぜ‼︎」 「あの丸いフォルムから、一転してシャープな印象になりますね」 「部品の交換は要らないなんだから、よく考えられているよなぁ」

Horrible Animal - BE@RBRICK Series 28

「 BE@RBRICK Series 28 を買ったよ」 「何が出たんですか?」 「AnimalとHorrorが出たよ。まずはAnimalから」 「河童がアニマル?」 「うん。空想上の生物でも良いらしい」 「この河童はキュートですけれど、種類によってはHorrorになりそうですよね」 「そのHorrorはこちら」 「キョンシーですか。懐かしいですね」 「キョンシーと言えばこのポーズだよね」

SF&M - 外天楼

『外天楼』を読んだ。1冊で完結しているので買いやすい。 読んでいる間の印象は、SF要素のあるメタバカミス。ロボットあり人工生命ありだし、ムチャな物理トリックやダイイングメッセージをネタにしたコメディもあったし。 しかし、ラストに愕然とさせられた。結末を知ってから読み返すと、最初とは全く違った世界が見えてくる。 同じ作者の『それでも街は廻っている』も読んでみよう。

いっちにー惨死ー - ヴォイニッチホテル I, II

『ヴォイニッチホテル』のVolume I, IIを読んだ。 形容しがたい独特の雰囲気があって引き込まれる。強いて言えば、ティム・バートンの『コープスブライド』とクエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』と日本のマンガがごった煮になった感じ。 好みの雰囲気なので追いかけよう。

無限の広さの密室 - ゼロ・グラビティ

2014年の1月に映画『ゼロ・グラビティ (原題"The Gravity")』を観て感想を描いたのだけれど、恐らく手違いで知らないうちに消えてしまっていた。というわけで、半年後に漫画『プラネテス』を読んで思いだしたのをキッカケに改めて感想を描いてみる。 まずIMAX 3Dで観て良かったと思う。主人公が宇宙に投げ出された時のあの感覚は、半年経った今でも覚えている。宇宙は想像もつかないくらい広いのに、それだからこそ投げ出されてしまうと、本当に寄る辺がない。思い出したら心細くなるくらい。

戸惑う走馬燈 - プラネテス 1~4

『プラネテス』を1~4まで読んでみた。自分にとっては1巻が一番好みだった。全巻を通して最も印象的だったのが、ユーリのエピソードの哀切と救済だったからだと思う。 特にシノダが出てきてからは、彼女についていけなくなってしまった。ハチとの関係は面白いのだけれど、彼女個人がサッパリ分からないからかなぁ。彼女の発言には戸惑わされることしきり。 ところで、宇宙に関連する作品ということで、映画『ゼロ・グラビティ』、SF小説 『深紅の碑文』 、ライトノベル『猫の地球儀』を思い浮かべる。

でら寝てる - Kindle for iPad Air

「先週の金曜日にちょっと風邪をこじらせて寝ていたんだけどさ」 「よく寝ていましたね」 「うん。随分と寝られて良かった。でも、さすがに一日中は寝ていられないやん」 「そうなってしまたら、最早それは昏睡状態では」 「だよね。というわけで寝られない時間帯は暇だったんだんよ。一狩り行く気にも細かい字を読む気にもなれないし」 「それだけ元気なら、寝込まないですよね」 「そこでマンガしかないと思って、色々買ってしまった。寝込んだままでもマンガが何冊も買えちゃうんだから、便利なもんだよなぁ」 「マンガしかないことはないと思いますが、映画のオンデマンドとかニコニコ動画とか」 「映像はあかんねん。途中で寝てしまうから」 「寝たらいいじゃないですか。風邪なんですから」 「寝ちゃうのはいいんだけれど音が大きくなったところで目が覚めてどこまで観たっけ? ってなるのが嫌で。マンガは寝落ちしたところで待っててくれるから、置いてけぼりにされない。優しい」 「紙の本と違って、寝ている間に折れてしまったりしませんしね」 「あれは心が折れる」 「え、こんなことになっているんですか!?」 【ニコニコ動画】【折り紙】心が折れる動画 「寝ている間にそんなことなっていたら恐いわ!!」

浪速には罠 - ナニワ・モンスター

『ナニワ・モンスター』を読んだ。 『輝天炎上』 を読んだ時は、あと 『ブレイズメス1990』 、 『スリジエセンター1991』 、『極北ラプソディ』を読んだら、『カレイドスコープの箱庭』に進もうと思っていたのだけれど、 『極北ラプソディ』 を読んだらこれも読みたくなって。思いがけず『ブレイズメス1990』、『スリジエセンター1991』とも繋がりがあって、驚いた。 本作は三部構成になっている。第一部では医療が舞台。開業医の菊間や検疫官・喜国が中心に描かれる。第二部では検察・警察が舞台。浪速地検の・鎌形や警察庁の斑鳩が中心となる(斑鳩は『輝天炎上』まで出ばり続ける)。第三部は政治が舞台。大阪府知事・村雨やスカラムーシュ・彦根が中心となる。 各部でテーマが切り替わるせいで散漫な印象。自分がよく楽しめたのは第一部。テーマが生活に直結している疫病対策だからだろう。第二部以降は政治色が強くなってきて、苦手意識が先に立ってしまった。〈田口・白鳥〉シリーズだと白鳥という現実主義の変人がいるおかげで面白いのだけれど、彦根の話は大き過ぎてちょっとついていけなかった。 でも、『輝天炎上』に至るまでの流れが掴めてスッキリした。あとは『カレイドスコープの箱庭』を読んで一区切り。と思ったら、『スカラムーシュ・ムーン』という連載も進んでいることや、『アクアマリンの神殿』という新刊が出ていること、その前作『モルフェウスの領域』を読んでいないことにも気がついたり、と芋づる式に関連作品を読みたくなってくる。うまいなぁ。

儚き墓 - スリジエセンター1991

『スリジエセンター1991』を読んだ。これにてバブル三部作が完結。 本作では、前作 『ブレイズメス1990』 で表面化した天城と高階との対立が、戦闘フェーズへと移行して瞬く間に決着する。 どちらがその後の趨勢となるか〈田口・白鳥〉シリーズで既に分かっていたから身構えてはいたけれど、エンディングは予想を超えてやるせなかった。途中から他シリーズでの天城の扱いに思いが至ってからは、戦闘終結後の天城の去就が最大の気掛かりになっていただけに一層。

Cast your dream - Chromecast

「Chromecastをゲットしたよ」 「迷った挙げ句、買ったんですね」 「迷っている間にプレゼントしてもらちゃった。ありがたいことだ」 「プレゼントを下さった奇特な方に感謝ですね」 「それにしても随分と長い間迷っていたなぁ。Twilogを検索してみたら、 発表当初から気になっていた みたいだ」 「日本で発売される約1年前ですね」 「いくつか躊躇する要素もあったからね。その中でも最大の懸案だった有線LANで繋いでいたPCからのキャストも、一度無線LAN端末から設定したら、ちゃんとできたから万々歳だ」 「後は対応サービスがどれくらい増えるか、ですね」 「Chromeのタブが飛ばせるから、対応していなくても何とかなりそう、案外。ニコニコ動画も観られたし。夢が広がるね!!」 「夢をキャストということは、ドリームキャ――」 「それはセガの夢の跡!!」

It's my - HK/変態仮面

「『HK/変態仮面』を観たよ。いやーヒドかった!!」 「嬉しそうですね」 「ヘタレることなく映像化されていて大満足」 「と言うか、よく映像化しようと思いましたよね」 「よくを言えば、もっと予算があってCGが本格的だったらなあ。ハリウッド並に」 「スパイダーマンのパロディーもありましたしね。って、そんなお金ドコから出てくるんですか……」

Dead or Dead - All You Need Is Kill (映画)

「『All you need is kill (原題: "Edge of Tomorrow")』を観てきたよ」 「ハリウッド映画としての原題は"Edge of Tomorrow"ですけれど、原作が日本のライトノベル『All you need is kill』なので、何が原題か分かりませんね」 「 『スラムオンライン』 が面白かったから読もうかなぁなんて思っているうちに映画が公開されてしまったよ」 「それで、その映画はどうだったんですか?」 「面白かったよー。もう一捻りあってもよかったかなぁとは思ったけれど」 「これもタイムトラベルものなんですよね」 「偶然だろうけれど、最近よく読んでるよなぁ。 『ここがウィネトカなら、君はジュディ』 も 『アリス・リローデッド』 もタイムトラベルものだ」 「比べてみるとどうですか?」 「がんがん現実を書き換えちゃうの新鮮だった。結末は変らなかったり、変えられたとしても犠牲があったりすることが多い中、覚えゲーかのごとくガンガン前進していくところが面白かったよ」

差し当たりアサシンたる - 暗殺教室10

『暗殺教室10』を読んだ。 今回の表紙は虹色。さらにプリズム加工でキラキラしている。『鋼の錬金術師』の最終巻付近で箔押し加工くらいは見た覚えがあるけれど、こんなにカバーが派手なコミックス初めて見た。 生徒が殺せんせーを出し抜き始める一方で、殺せんせーも生徒の暗殺をしのぐ中で対策を身に付け始めたりして、おいおいまだ強くなるのかよ、と思う。 それはそれとして、ケイドロ回の律ちゃんがあざとかった。

Alchemist's;Gate - 商人と錬金術師の門

テッド・チャンの『商人と錬金術師の門』を読んだ。本作は、短篇集『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』の一篇。 普段は一冊単位で感想を書くのだけれど、約50ページのこの一篇だけで感想を書くのは、『SFマガジン700【海外編】』の『息吹』で初めてテッド・チャンの作品を読んで、描かれている以上の世界を想像させられて打ち震えて、これだけを目的に本書を読んだから [1] 。 これだけ期待していたにも関わらず、読み終えた今、全く裏切られていなくて、ビックリしている。この短篇集自体が時間SFをテーマに編集されているから、当然これも時間SF。幾つかの紋切り型が思い浮かぶくらいには読んでいるのだけれど、これはいい。こういう風になるとは想像できなかったのに、読んでしまうと自分の感覚にとてもしっくりくる。 『息吹』もそうだった。まさに読んでいる最中は驚かされるのに、読み終えるとすんなりと受け入れられて、描かれていないことにまで想像を広がっている。 [1] でも活字中毒なので全部読む。

Shoot the Learner - アリス・リローデッド (1), (2)

『アリス・リローデッド (1)』、『同 (2)』を読んだ。 語り手は意志を持つ銃、ミスター・マグナム。武器が語り手なので、『ラグナロク』シリーズを思い出す(続刊出ないのかなぁ……)。 1巻は1巻で完結させた上で、好評だったので続刊が続いたように見える。とにかく1巻が駆け足。駆け足どころか、全速力。色々と勿体ない。 2巻でようやくパーティの面々にフォーカスが当たり始める。ここからが本番といったところか。でもまだ食い足りない。詰まらなくはない。面白いんだけれど、何か突き抜けてこない。 西部劇+ファンタジー+タイムトラベルという面白い設定なのになぁ。展開の速さと語り手の躊躇いがちなところが噛み合っていないのが、噛み合っていないのかな。 既に3巻まで出ているので、そこまでは読もう(検索すると、「打ち切り」なんて不穏な言葉がサジェストされてスリリングだ)。

金次第で致しかね - ブレイズメス1990

『ブレイズメス1990』を読んだ。本作は『ブラックペアン1988』の続編。同時に〈桜宮サーガ〉の一篇でもある。 先日読んだ 『極北ラプソディ』 の前日譚でもある。『極北ラプソディ』で極北市民病院を黒字化するために剛腕を振るっていた世良が、本作では東城大学医学部で天城に振り回されている。 この天城が、世良のルーツなんだろう。天城はお金に関する考え方が周囲と全然異なっていて、それを隠そうとしない。高階との反りが全然合わなくて、ヒヤヒヤする。世良は何とかついていって、理解しつつあるようだけれど。 でも、本作中ではまだ『極北ラプソディ』の世良と同一人物とは思えない。きっと続編の『スリジエセンター1991』で描かれるであろう事件が契機になるんだろうな。読むのが楽しみだ。

an ambulance and an avalanchea - 極北ラプソディ

『極北ラプソディ』を読んだ。本作は 『極北クレイマー』 の続編。 テーマの一つは医療と金。治療費の踏み倒しについて、議論されていたりする。踏み倒されるからといって税金として予め集めてしまって、自己負担を減らすとモラル・ハザードに繋がるし、難しそうな問題。 モラル・ハザードと言えば、救急車をタクシー代わりに使うのを止めて欲しいというポスターを思い出す。総務省消防庁が作った 『救急車利用マニュアル』 によると、2000年から2010年にかけて、人口はほぼ横ばい(1億2693万 → 1億2719万人)なのに救急車の出動件数は約30%増えている(418.4万 → 546.3万件)。救急車が必要になる事故・急病は、こんなには増えていないだろうなぁ。 この作品ではより早く患者を治療するためにドクターヘリが活躍しているけれど、現実には大したことのない理由で呼ばれたせいで必要な時に行くべき所に行けなかった救急車がいるのだろうなぁ、と想像すると気が滅入る。