「『WORLD WAR Z(上)』、『同(下)』を読んだよ」
「8月に映画が公開されますね」
「これ、どんな映画にするんだろう? と思って、予告編を観てみたら、ビックリしたよ」
「どうしてですか?」
「様変わりしていて。この本は多数のインタビュー取材を並べる形式になっているのだけれど映画はずっと主人公の1人称で進むようだし、敵に関する設定も変わっているようだし」
「設定はともかく、形式はそれだと映画映えしないからじゃないですか?」
「それもそうか。小説には小説の映画には映画の得意な形式があるだろうしね」
「ええ」
「でも、この形式はこの形式で小説としては変わっているよなぁ。註はあるけれど、インタビュイーの言葉がメインで、地の文が全然無い。時折インタビュアの質問や補足が挟まるくらい」
「確かに小説らしくはないですね」
「面白かったからいいか。もう少し縦糸が通っていると、さらに面白くなりそう。うーん、でも、そうしたら、物語めいてしまうかな? 全容の見えなさが、いかにも事実っぽい雰囲気を作り出してもいるから」