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勝利の美醜

采配
「『采配』を読んだよ」

「元中日監督の落合さんの本ですね」

「うん。中日と言えばマスコットのドアラだけれど、さすがにそのDVDやらやらだけというのもどうかと思って」

「独特のやり方で『オレ流』なんて言われた方ですよね」

「でも『オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である』なんてタイトルの節で、新しいことなんてやっていないと言っている。同時に大切なのは『誰がその方法で成功を収めたかだ』とも。でも読んでいて思ったのは、大事なのは個々の方法じゃなくて、全体が『チームを優勝させる』という目標に向かって一貫していることなんだろうな、と思った。それを強く感じたのは、次の3節」
  • 『気心と信頼は別物』
  • 『職場に「居心地のよさ」を求めるな』
  • 『最高の成果を求めるなら、最上のバックアップを』
「一つ目は成果を最大化しようとしたら、気心が知れない、つまり、自分とは違う人を信頼して任せる必要があるという話。二つ目は、結局、居心地が良いのは上から評価されている時なのだから、人間関係にあれこれ思い悩むより自分の仕事に打ち込んだ方がいいんじゃないか、というメッセージ。最後は、でも、成果を求めるならバックアップが先じゃないか、という話」

「何と言うか、合理的ですね」

「ほんと、そう。なあなあでは済まされないな、とひしひしと感じる。『ウィニング 勝利の経営』にも通じるところがあるように思う。ゴールデンウィーク明けのたるんだ心身で読むと、耳が痛いどころじゃない。もっと気を引き締めないとなぁ……」

「ちょうど良いじゃないですか。しっかり休んでしっかり遊んだんですから、次は自分の仕事に打ち込んで下さいよ」

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『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

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