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さる地面と猿真似マネジメント

『マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]』を読んだ。

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(感想)を読んで、原典はどう書いてあるんだろう? と思ったのがきっかけ。

本書に書かれているのは、「正しい問い」だ。
『統計学を拓いた異才たち』で知った、テューキーの次の言葉を思い出す。
「正しい疑問に対する近似的な解を持つ方が、間違った疑問に対する正確な解を持つよりましである」
例えば、「企業の目的とは何か?」という問いがそれだ。
ドラッカー曰く、利益の最大化は、企業の目的ではない。それは、株主(投機家)の目的だ。

一応、「顧客の創造」という答えも書かれているけれど、こんなに抽象的ではまだまだ「何をするか」には程通い。「よき意図」に過ぎない。
「実行できる企業戦略」まで考え抜いて、初めて「成果」につながる。

本書に「答え」はない。
それを考えるのは、自分の仕事だ。

ただ、アンチパターンは示されている。
先ほどの利益の最大化もそうだ。
別の例として、規模の最大化も挙げられている。

確かに、肥大化すると組織や階層が増えるから、ロクな事がない。
まず、組織や階層が増えると、ステークホルダがあちこちに分散するため会議が増える。
階層が増えると、叩き上げではトップマネジメントになるまでに何十年もかかるから、「逆線表」を引いて早期に天才を探し求めることになる。

猿真似ではなく、地に足をつけて、自分の頭で考えないとなぁ。

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