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8月, 2010の投稿を表示しています

Pattern, wiki, XP and Holmes

『パターン、Wiki、XP』 を読んだ。 本書は、タイトルの3要素「パターン(デザインパターン)」、「Wiki」、「XP」の共通点を、その来歴を通じて探っている。 自分の理解では、主な共通点は二つ。 まず、建築家アレグザンダーの「パターン・ランゲージ」に影響を受けていること。 もう一つは、いずれもバザール方式で、作られていること。 では、アレクザンダーの「パターン・ランゲージ」はどうやって生まれたのだろうか。 本書ではいかにもアレクザンダー一人が作り上げたように書かれているが、それは単なる神話なのだろうか。 自分としては、たった一人の人の頭の中で生まれたのだと思う。 「パターン・ランゲージ」に限らない。「Wiki」も「XP」もそうだ。 アイディアが生まれるのは、思考の中でしかない。 ワトソンの何気ない一言から、ホームズの中で解決が導かれるように、他者からインスピレーションを受けることがあっても、生まれる瞬間は孤独なはずだ。

作物語

『SOSの猿』 を読んだ。 読んでから、漫画 『SARU』 との競作企画だったと知る。 それはさておき。 不思議な物語だった。 作り物めいた物語だけれど、物語自体への言及があるおかげか、そういうことがあってもいいじゃないか、と思わせてくる。 どことなく 『アイの物語』 ( 感想 )を思い出した。 ところで、本書で描写されているうっかり者の特徴が、自分にほとんどぴったり当てはまっていて、怖い。 そのうち、何かしでかさないだろうか、自分。

さる地面と猿真似マネジメント

『マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]』 を読んだ。 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 ( 感想 )を読んで、原典はどう書いてあるんだろう? と思ったのがきっかけ。 本書に書かれているのは、「正しい問い」だ。 『統計学を拓いた異才たち』 で知った、テューキーの次の言葉を思い出す。 「正しい疑問に対する近似的な解を持つ方が、間違った疑問に対する正確な解を持つよりましである」 例えば、「企業の目的とは何か?」という問いがそれだ。 ドラッカー曰く、利益の最大化は、企業の目的ではない。それは、株主(投機家)の目的だ。 一応、「顧客の創造」という答えも書かれているけれど、こんなに抽象的ではまだまだ「何をするか」には程通い。「よき意図」に過ぎない。 「実行できる企業戦略」まで考え抜いて、初めて「成果」につながる。 本書に「答え」はない。 それを考えるのは、自分の仕事だ。 ただ、アンチパターンは示されている。 先ほどの利益の最大化もそうだ。 別の例として、規模の最大化も挙げられている。 確かに、肥大化すると組織や階層が増えるから、ロクな事がない。 まず、組織や階層が増えると、ステークホルダがあちこちに分散するため会議が増える。 階層が増えると、叩き上げではトップマネジメントになるまでに何十年もかかるから、「逆線表」を引いて早期に天才を探し求めることになる。 猿真似ではなく、地に足をつけて、自分の頭で考えないとなぁ。

時間を静止させる

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』 を観た。 本映画は、アニー・リーボヴィッツという写真家のドキュメンタリー。 改めて、写真の力を思い知る。 『戦争広告代理店』 や、 『フォト・リテラシー』 で報道写真の力は知ったつもりでいたけれど、それ以外の写真にもこんなに力があるのだな、と思い知る。 自分は絵を描いているからか、写真より絵を重んじているけれど、写真も素敵だなぁ、と思った。 おこがましい話ではあるけれど。 本作を観て気がついた絵の欠点は、次の二つ。 まず、自分が見えているものしか描けない。写真なら、自分が見えていない物が映る。 次に、(特に架空のキャラクターの)絵は、底が浅い。実在の人物を写す写真は、その人物の人生に思いを馳せられる。 ま、2番目はかなりの程度を妄想でカバー出来そうだけれど、1番目はクリティカルだな、と思う。 出力(絵を描いたり、写真を撮ったり)も大事だけれど、それ以上に見る目を養うことが、重要だろうな、と思う。

ConclusionS

『今こそアーレントを読み直す』 を読んだ。 『「不自由」論』 ( 感想 )と同じく、アーレントについての比較的読みやすい本だと友人から聞いたのが、本書を手に取った理由。 本書は序論+4章の全5章から構成されており、自分にとって水平方向に新しかったのは、第3章と第4章。 第1章と第2章も面白かったけれど、テーマ自体が『「不自由」論』で軽く触れられていた「悪」と「人間本性」だったので、新しさは垂直方向だった。 その第3章、第4章に書かれているのは、「自由」と「観想的生活」。 アーレントがいう「自由」は、制約からの解放ではなく自制による自縄だ。 カントの「自律」を思い出す。 「観想的生活」は、思索に耽る内省的な生活のこと。 『人間の条件』 ( 感想 )では、「活動的生活」の影に隠れていたけれど、未完の遺作 『精神の生活』 では、むしろこちらに重きが置かれているとのこと。 活動の対極とも言える「傍観」も、活動結果のよりよい評価のために重要だと言っている。 こうしてざっと振り返ってみると、あれもこれもで主張がないようにも見えるけれど、著者によるとそのように見せているのも戦略らしい。 アーレントの目標は、特定の結論が広く合意されることではないらしい。 全体主義に通じる恐れのある「思考の均質化」だけは何とか防ぐというミニマルな目標を追及した控え目な政治哲学者ではないかと私は考えている。 これには、賛成。 本を読んでいて、色んなことを考えている人がいるなぁ、と感じて、安心するのと似ている気がする。

物語の収束

『鋼の錬金術師 26』 を読んだ。 本巻では、ホーエンハイムとスカーが大活躍。 ずっと伏せられていた伏線がついに回収された。 それから、ついにブラッドレイ親子と言うかラース・プライド兄弟と言うか、との決着が付いた。 キング・ブラッドレイは人間味があったし、セリムとの結末は、意外だった。 アニメやガンガンの連載は既に終了しているけれど、単行本は次が最終。 自分は単行本しか見ていないので、いまだに結末がどうなるか楽しみだったり。

Genuine Engin

『ディファレンス・エンジン』 を読んだ。 円城搭の 『Self-Reference ENGINE』 ( 感想 )や、 『虐殺器官』 ( 感想 )が面白かった伊藤計劃の『The Indifference Engine』( 『虚構機関―年刊日本SF傑作選』 に収録)のタイトルの元ネタだから、どんなものなんだろう、と思って読んでみた。 結論から言うと、ウィリアム・ギヴスンは自分には合わないのだろうか、と思った。 『スプーク・カントリー』 ( 感想 )もいまいち楽しめなかったし。 代表作らしい 『ニューロマンサー』 を読んでみて合わなかったら、そういうものだと思うことにしよう。

中心はない

『ヴァルプルギスの後悔〈Fire3.〉』 を読んだ。 インターネットがあって、色んな人がブログを書いていてくれて良かったな、と思う。 この言葉、同作者の他作品のどこかで読んだはずなのだけれど、どの作品だったっけ? と疑問を持つことよくあるのだけれど、大概のことは検索すれば出てくる。 ところで検索していると、芋づる式に作品間のつながりが見えてくる。 そこで思うのは、中心的シリーズの存在を感じなくなってきたということ。 デビュー作が 『ブギーポップは笑わない』 だったため、ブギーポップシリーズを中心として見ていたけれど、ヴァルプルギスの後悔シリーズのキーワード「魔女」は、事件シリーズ(特に 『紫骸城事件』 )で詳しく語られている。 今回出てくる『奇跡使い』なんて、単発作品 『冥王と獣のダンス』 が初出らしいし。 このように見方が変わったせいか、何だか今更改めて面白くなってきた。 ところで、事件シリーズの新作はいつ出るんだろう。

悪はありふれているのに - 「不自由」論

『「不自由」論』 を読んだ。 『人間の条件』 が噛み砕けなかったので、アーレントに言及があり、比較的読みやすい(と友人から聞いた)本書を手にとってみた。 確かに随分読みやすい。おかげで、「人間らしさって何?」みたいなことを少しは整理できたと思う。以下、自分なりの整理。 まず、思考停止こそアーレントにとっての「悪」の本質。本書では、アイヒマンが例として挙げられている。思考停止すると、普通の人がいかに酷いことをできるか、は 『服従の心理』 ( 感想 )に詳しい。 では、「悪」に対置できるような「善」はあるのか、というと実際には存在しない。「人間らしくあること」は理想論でしかない。現実には邪なことを考える。 だから「人間らしく振る舞う」ためには、「ありかた」と「すること」をずらす必要がある。考えに比べれば、行動を変えるのは容易い。 一種の開き直りだけれど、これでよいと思う。考えは後から変わってくると思っている。まずは騙されたと思って(誰に?自分に)でも変えていくのだろうな、と。変えて駄目だったら、戻せばよいのだろうし。

炎と血と赤髪と

『ONE PIECE 59』 を読んだ。 表紙から見て取れるように、ついに赤髪のシャンクス登場。 それにしても、赤い表紙だ。 火拳のエースや血まみれの白ひげはもちろん、ルフィの服も、黒ひげのコートも赤い。 シャンクスの登場で、頂上戦争が終結。 この結末には色々思うところがあるけれど、これからどうなるのか楽しみ。

バットマンのマント

『特撮リボルテック バットマン』 を買った。 コスチュームは映画『ダークナイト』( 感想 )のもの。 素顔はちょっと好きになれないけれど、その他の見た目は好印象。 どうせ素顔パーツは付けるつもりはないし、よく動くので、コストパフォーマンスが高いと思う。 これで2000~3000円。 面白いな、と思ったのはマントの作り。 3つのパーツに分割されていて、それぞれ動かせる。 あまり大きく広げるとパーツ間の隙間が目立つけれど、写真のように手に合わせたりできて楽しい。 ところで、ジョーカーは出ないのかな? と思う。 せっかくダークナイトのコスチュームなので、並べたい。

仕事術師になれるだろうか

『ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則』 を読んだ 『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』 と対になる一冊。 『整理術』がGTDの全体像を描いているのに対して、『仕事術』は52の法則がモジュール化されていてどこからでも読める。 ちょっと初心を思い出したいときは、『仕事術』の方が向いていていると思う。 1法則あたり数ページなので、ぱらぱらとめくってつまみ読みしやすい。 でも、今回は初めて読む機会だったので、通して読んでみた。 今の自分にとって、最も必要だと感じたのは、法則39。 時間やエネルギーがないときほど、整理や計画が必要 時間やエネルギーがないと、つい目の前の手をつけやすいTODOに逃避してしまうけれど、必要なのはそんなどうでもいいTODOを片付けることではない、と理解している。 確かに、目を背けているまさにそのTODOこそストレスの元だったりする。 嫌なことから片付けていった方が、ストレスフリーに近づけるのだろうなぁ、と逆説的なことを思う。

負けてマーケティング

『ポケット図解 フィリップ・コトラーの「マーケティング論」がわかる本』 を読んだ。 マーケティングは未知の分野なのでこれくらい軽そうなのがいいかな、と思って目を通してみたのだけれど、軽すぎて情報が足りていないように感じた。 想像に過ぎないけれど、ある程度の背景知識を保つ人が全体像をざっと見直すのには使えそう。 図書館で借りて読んだのも、悪影響していた。 まず、投資したわけではないから、元を取ろうという貪欲さが出なかった。 それに、返却期日があるから、それまでに読み終えることが目的化してしまった。 緊急に必要としているわけでもないので、また興味が沸くまで待つことにする。 そうなったら、もう少し情報量の多い本を読むことにしよう。

仕事ごとごと

『人間の条件』 を読んだ。 少なくとも3分の1は理解できなかった。 この数字はきっとかなり楽観的で、実は全然分かっていないと思う。 けれど、得るところはあった。 本書がいうところの、「労働」と「仕事」の違いは確かにその通りだと思う。 一言で表すと、労働は終わらないけれど、仕事は終わる。 労働は過程の一部だから、終わりはない。継続する必要がある。生きていくための必然的行為に相当する。 一方、仕事は作品を作る行為だから作品ができたら終わる。自分が死んだ後も残るような作品ができれば、仕事人は満足だろう。 この理解をしたとき、自分は「労働」をしているけれど、「労働」を効率的に終わらせて「仕事」をする時間を増やしたいな、と思った。 正確に言うと、思っていたことが言葉になった。 ちなみに、本書では「労働」と「仕事」に加えて、「活動」が重要な用語になるのだけれど、活動の意義は自分にはよく分からなかった(だから3分の1は理解できなかったと思っている)。 人に記憶してもらうことが重要な要素だったのだと思うのだけれど、自分はそういう欲求が弱いからだろうか。