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恐いのは

月見月理解の探偵殺人 5 (GA文庫)『月見月理解の探偵殺人1~5』を読み返した。

初めて読んだ時とは違った側面が見えてきて面白い。それが見えるようになったのは、作中で重要な位置を占める〈探偵殺人ゲーム〉の元ネタ〈人狼〉について興味を持って、人狼BBSのまとめサイトやそこで紹介されているプレイログを読み漁ったからだと思う。

今思えば、ようやく見えたこの側面こそが、このシリーズのテーマなんだと思う。前回読んだ時は、ルールとそれがプレイヤの行動に与える影響を追いかけるだけで精一杯だった。今回は、前回読んだ時の記憶とWikiで知ったセオリーのおかげで、その辺りを捨象できたからだと思う。理解しきれずに諦められるようになっただけかもしれないけれど。

その側面は、事実の意味のなさ。このことはそれはもうハッキリと作中に描かれているけれど、こうして改めて読んでようやくそこ(と理解や交喙のかわいさ)に焦点を当てて読むことができた。

事実がどうであれ、多数の人間が参加する不完全情報ゲームでは、各人はそれぞれの視点から見える情報を根拠にそれぞれの利害に従って行動を選択する。さらに利害はしばしばゲームの外からもたらされる。だから、筋道だって事実であることを説明しても、感情的な理由や利害に関する理由などで受け入れられなければ、行動を変えられない。

そして、現実の問題のほとんどは、多数の人間が参加する不完全情報ゲーム。本当に恐いのは、事実だろうが虚偽だろうがそれを受け入れさせてしまうような人――端から見れば詐欺師なのだけれど、受け入れた側から見れば探偵に見えてしまうような、そんな人なんじゃないだろうか。

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