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パターンは実装じゃない

エンタープライズ アプリケーションアーキテクチャパターン (Object Oriented Selection)『エンタープライズ アプリケーションアーキテクチャパターン』を読んだ。

"PofEAA"という略称で知られるこの本は、企業向けアプリケーションの基本的な設計方針のパターン集。企業向けアプリケーションとタイトルについているけれど、企業向け消費者向けを問わず、ある程度の規模があれば現れるパターンだと思う。

パターンカタログその翻訳はWebで公開されているのだけれど、これだけではパターンどうしの関係や各パターンの詳細が掴めなかったので、ざっと読んでみた。

パターンどうしの関係は『第1部 概論』に書かれている。しかし、ここでは各パターンが説明なく用いられるので、『第2部 パターン』をあたらないと、どうしてそういう関係になっているか見えてこない。だから、第1部では分からないところを残したまま先に進んで、そのまま第2部まで読んだ。それから第1部を見返すと、ようやくパターンどうしの関係が掴めてくる感じ。

アーキテクチャだから基本的には高い抽象度の設計方針が記載されているのだけれど、その中にも高低があるから、どのくらいの抽象度で適用するパターンか意識していないとすぐに混乱してしまう。横の関係のパターンもあれば、縦の関係のパターンも、直交する関係のパターンもある。

続く『第2部 パターン』にパターンの詳細が書いてある。自分の考えの不足に気づけて嬉しい。それから、フレームワークの設計方針が言語化できて面白い。例えば、FrontControllerパターンではStrutsが言及されていた。それからDataMapperパターンの典型はMyBatisなどのORマッパー。

ところで、この本にもModelViewControllerパターン (MVC)が出てくる。このパターンが悩みの種だった。名前をよく聞くし、何となくは分かっているつもりだったけれど、いざ実際にこの分割を維持しようとすると悩み事が沢山出てくる。かと言って、その場でWebを調べてみても、どうもスッキリしない。次の1文を読んで、ようやくスッキリした。
最もよく用いられるパターンである(と同時に、最も誤って用られるパターンでもある)
すっかり理解できたわけじゃなくて、常に正しいMVCなんてないのだな、と思えるようになった。

パターンは実装じゃないから、実装したらどうなるか考えて要求・制約にフィットさせないといけない。そういう当たり前の話。だけれど、万能のパターンがあるんじゃないかと心のどこかで思って探し回ると、整合しない情報に溺れてしまう。

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