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Time is Money?

TIME/タイム [DVD]映画『タイム (原題: "In Time")』を観た。

お金の代わりに時間で経済が回る世界の話。この世界では、富裕層がスラムから搾取した時間で延々と寿命を伸ばし続けている。

資本主義経済下での富の偏りを批判しているのだろう。ミヒャエル・エンデの『モモ』に出てきた、〈時間銀行〉を思い出す。

少し斜めから、時間を流通させるシステムについて考えてみる。考えてみる、と言ったけれど、考えずにはいられなかった、の方が実態に近い。職業病かもしれない。

時間の流通を支えるシステムは、金融インフラ以上のミッションクリティカルになる。寿命を授受するから、システムダウン・計算ミス・入金遅延が、文字通り致命的問題になる。従って、100%の可用性で、厳密かつ高速に処理しなければならない。

まず、100%の可用性は実現可能だろうか? センタをいくら冗長にしても、端末が壊れたらアウトだ。次に、厳密と言ったけれど、何桁の精度なんだろう? コンピュータの精度は有限だ。それから、処理に必要な時間はどう扱われているんだろう? いくら高速にしても、処理も伝送も0秒ではできない。

加えて、セキュリティのリスクも大きい。なのに、全体的に甘い。寿命は腕に常に表示されているし、意思に関わらず奪えるし、授受のための端末でも認証している様子がない。怖過ぎる。

クラックしてアンダーグラウンドで何千年も生きている人がいそう。サラミ攻撃(多数の標的から少しずつかすめ取る)なんて有効そう。ミリ秒単位なら気づかれないだろう。

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