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潮流のち酔う理由

『現代思想入門』を読んだ。

本書は、第2次世界大戦後に出てきた次の4つの思想について、概略を紹介したもの。
  • フランクフルト学派
  • ポスト構造主義
  • 現代リベラリズム
  • カルチュラル・スタディーズとポストコロニアリズム
これまで自分は主にポスト構造主義の(と言うか、デリダの)本ばかり読んできたけれど、他にはどんな思想があるのか興味が沸いてきたので手に取ってみた。
こんな思想の潮流なんだなぁ、とぼんやりと感じることができたので、悪くはなかったと思う。
クリアに理解できないのは、自分が固有名詞を理解できないからだろう。

ところで、さらに詳しく知ろうと思う読者のために、思想ごとにBook Guideがついているのだけれど、その量が多い。
選り取り見取り、と思うと同時に、これだけは読めないな、とも思う。

特に、カルチュラル・スタディーズとポストコロニアリズムのBook Guideは、前置きで最低限基礎的な古典文献は読んでおいて欲しいと前置きし、9人もの思想家の名を挙げる(参考までにその9人を列挙すると、デカルト、カント、ルソー、モンテスキュー、ヘーゲル、マルクス、ハイデガー、アドルノ、ベンヤミン)。
その上で、22冊もの書籍を紹介しているので、単純計算で少なくとも31冊。

これは、本書の「はじめに」で述べられている通り、
「偉大なる思想家」が「偉大」であると社会的に認められるには、それに「少し先行する時代」、あるいは「同時代」の「思想家たち」と関係付けられ、比較されることが前提になる
ためだろう。

この繰り返し他の思想家たちと関連付けられる点が、自然科学と大きく異なると思う。
自然科学における理論が認められる前提は、観察結果と一致することで、一致しない理論は、顧みられなくなる。
今時、エーテルやオキシジェンについて、真面目に議論する科学者はいない。
思想の対象は思想のフィードバックを受けて変わるけれど、自然科学の対象は変わらないからだろうか。

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