『グラン・ヴァカンス』や『ラギッド・ガール』の作者・飛浩隆の短篇集。
全6篇のうち2篇――『現代詩手帖2015年5月号』掲載の『野生の詩藻』(本書掲載時に『La Poésie sauvage』から改題)、『Visions』掲載の『海の指』――は初出を読んでいた。
『海の指』は先月読んだばかりなので飛ばしてしまったけれど、『野生の詩藻』は新鮮な気持ちで読めた。当時は描かれている世界をイメージしにくかったのだけれど、『#銀の匙』と『曠野にて』を読んでこの世界の成り立ちを知った後なら、ずっと大きく想像を膨らませられる。
一連となっているこれら3篇は〈忌字禍〉シリーズとでも呼べばいいんだろうか。文字が躍り驚異とすらなる世界が、恐ろしくも魅惑的(なお『海の指』も別レイヤーの世界として参照されている)。
最後に掲載されている『はるかな響き』も印象的だった。感傷的だったとも言える。スケールの振れ幅がダイナミックで、心が揺さぶられる。宇宙の広大さと日常の哀愁がオーバーラップする不思議な感覚に包まれて、伝染してくる物悲しさへの抵抗が落ちる。
全6篇のうち2篇――『現代詩手帖2015年5月号』掲載の『野生の詩藻』(本書掲載時に『La Poésie sauvage』から改題)、『Visions』掲載の『海の指』――は初出を読んでいた。
『海の指』は先月読んだばかりなので飛ばしてしまったけれど、『野生の詩藻』は新鮮な気持ちで読めた。当時は描かれている世界をイメージしにくかったのだけれど、『#銀の匙』と『曠野にて』を読んでこの世界の成り立ちを知った後なら、ずっと大きく想像を膨らませられる。
一連となっているこれら3篇は〈忌字禍〉シリーズとでも呼べばいいんだろうか。文字が躍り驚異とすらなる世界が、恐ろしくも魅惑的(なお『海の指』も別レイヤーの世界として参照されている)。
最後に掲載されている『はるかな響き』も印象的だった。感傷的だったとも言える。スケールの振れ幅がダイナミックで、心が揺さぶられる。宇宙の広大さと日常の哀愁がオーバーラップする不思議な感覚に包まれて、伝染してくる物悲しさへの抵抗が落ちる。