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eight inch tails - あなたの人生の物語

テッド・チャンの短篇集『あなたの人生の物語』を読み終えた。全部で8篇の物語が収録されている。それぞれについて手短に感想を。

「バビロンの塔」
高い高い塔を昇っていく物語。ファンタジーを読んでいる気分で読み進めていたら、最後に世界がぐるりとひっくり返った。

「理解」
海外SFの『アルジャーノンに花束を』や『くらやみのはやさはどれくらい』を思い出しながら読んでいた。国内SFで真っ先に思い浮かんだのは『Know』。

「ゼロで割る」
これはいまいち楽しめなかった。主人公の反応についていけなかった、というのがその一番の理由だと思う。

「あなたの人生の物語」
読み始めて時制がおかしいと思ったら、そういうことか! ネタバレしないで書けることが少ないので、これだけで。映画化されるという話だけれど、どうなるんだろう?

「七十二文字」
ハードファンタジー風味。自分はメタプログラミングという呪文の話として読んだ。

「人類科学の進化」
短いけれど印象的。初出が論文誌だったということを知るとさらに面白さが増す。

「地獄とは神の不在なり」
「ありふれた降臨だった」の主語が神だったり、その顕現による被害には保険がおりなかったり、とスケールの幅広さが凄まじい。古橋秀之さんの〈ケイオス・ヘキサ〉シリーズを連想した。そう言えば、テッド・チャンも寡作だけれど、古橋秀之さんも寡作だ。

「顔の美醜について」
短い物語に色々な問題が詰め込まれている。本能的に人を美醜で評価することの是非、その本能を利用してアテンションを奪うことの是非(『Beatless』の〈アナログハック〉に似た問題)、その本能を抑制することの是非、それからその本能を抑制して育った人間がいたとしたら人をどう見るか。

これで文庫化されている作品を全て読みきってしまった。残る2作品『ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル』と『予期される未来』を読むには、雑誌『SFマガジン』のバックナンバーにあたらないといけないから、難易度が高い。電子書籍として配信されたりしないかな。

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