「何かと比べたがる人っているよね」
「いらっしゃいますね」
「近くにいるから高く見えているだけで、遠くにあるものの方が高いかもしれないのに」
「高いけれど崩れつつある一方で、低い方が伸び盛りかもしれませんしね」
「そもそも高いことがいいことなんだったっけ? 速い方がいいかもしれないよ?」
「それこそ比べようがないじゃありませんか」
「それなのに白黒ハッキリさせないと気が済みそうにない人もいる。ハッキリ言えるのは、ハッキリ言えることはないというくらいの状況でも」
「グレーゾーンですね」
「そうだね。そうではある。けれど、ハッキリしないことをグレーに喩えること自体、直線的な比較を含意しているよな」
「そう言えば、明るさのパラメータ1つで決まってしまいますね。じゃあ、玉虫色にしましょうか」
「構造色らしいね。角度によって光の干渉パターンが異なるから、違う色が見える」