『熊とワルツを』 を読んだ。 本書のテーマは、プロジェクトマネジメントにおけるリスク管理。 テーマはリスク管理に限られているけれど、問題意識は 『ピープルウエア』 や 『ゆとりの法則』 と通底しているように思う。 組織の文化や顧客とのコミュニケーションなど人間系を重視している。 「第5章 リスク管理をすべきでない理由」では、理由として次の6つを挙げているけれど、少なくとも5以外は人間系の問題だ。 発注者がリスクに直面できるほど成熟していない 不確定範囲が広すぎる はっきり不確定幅を決めると、出来の悪い仕事を許すことになる 「成功のための管理」の方があてになる リスク管理を有効に行うためのデータが不足している 単独でリスク管理をするのは危険である ところで、この著者の書籍には、ときどき益体もないことが書かれている。 例えば、理由6については、「この6番目の理由に対しては反論できない」と言ってしまっている。 「最悪の組織は、魅力のない結果ではなく、魅力のない予測を罰する」とも。 それから、デスマーチの定義も酷い。 そうならないためのリスク管理なのだろうけれど、なんて救いのない。 でも、思い当たる節がないでもないあたり、自分は普段目を逸らしているのだろうな、と思う。 デスマーチになる本当の理由は、あまりにも価値がないので普通のコストでプロジェクトを進めたらコストが効果が上回ることがあきらかだからだ。