スキップしてメイン コンテンツに移動

2008年の読書を振り返る

今年も残すところあと8日。
今年1年の間に読んだ本を振り返ってみた。

まだ今年の内に、何冊か本を読むと思うけれど、ここで一度棚卸ししてみた。
今年1年間で読んだ本は、およそ120冊。

その中から以下のテーマに沿って、各3冊(ライトノベルは3シリーズ)をピックアップした。
■ライトノベル:空白を越えた
■統計:何を語るのかあるいは何を騙るのか
■IT:PCだけでなく頭も冷やせ



■ライトノベル:空白を越えた
  • 2年の空白を越えて、『されど罪人は竜と踊る』がリスタートした。
  • 5年前からエンディング目前で止まったきりだった、『ダブルブリッド』が完結した。
  • 11年前に1巻が発売されたきりだった『ソリッドファイター』が、完全版となって出版された。
終わったシリーズは、結末が日の目を見ることができで良かったと思う。
再開したされ竜は、いつかでいいから、終わって欲しいと思う。
きちんと終わるのは、意外と難しい。



■統計:何を語るのかあるいは何を騙るのか
  • 『心理テストはウソでした。』は統計がいかにデタラメに使われているか、を描く。
  • 『その数学が戦略を決める』は統計がいかに用いられているか、を描く。
  • 『まぐれ』は統計の捉え方をひっくり返す。
昨年に引き続き、今年も統計に関する本を何冊か読んだ。
統計を使ったら何でも言えるとも言えるし、逆に何も言えないとも言える。
世の中には統計が溢れているけれど、その意図を読み解くリテラシィが必要だと思う。



■IT:CPUだけでなく頭も冷やせ
  • 『ソフトウェア企業の競争戦略』はどんなプレイヤが動いているかを描く。
  • 『ITにお金を使うのは、もうおやめなさい』はITの将来について描く。
  • 『なぜITは社会を変えないのか』はITと社会の関係について描く。
クラウドとかXX2.0とかXaaSとか、IT業界にはバズワードが飛び交っている。
どんなプレイヤが動いているのか。そしてプレイヤが供給するものによって、社会はどう変わるのか。あるいはどう変わらないのか。
最近はグリーンデータセンタが流行っているように見受けられるけれど、CPUだけでなく自分の頭も冷やしたい。



振り返ってみると、ライトノベルとSFと確率・統計、それからITに関する本が多い。
来年はどんな本を読もうか。

このブログの人気の投稿

北へ - ゴールデンカムイ 16

『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

Memory Free - 楽園追放 2.0 楽園残響 -Goodspeed You-

『楽園追放 2.0 楽園残響 -Goodspeed You-』を読んだ。映画 『楽園追放 -Expelled from Paradise-』 の後日譚にあたる。 前日譚にあたる『楽園追放 mission.0』も読んでおいた方がいい。結末に言及されているので、こちらを先に読んでしまって後悔している。ちなみに、帯には「すべての外伝の総決算」という惹句が踊っているけれど、本作の他の外伝はこれだけ [1] 。 舞台は本編と同じでディーヴァと地球だけれど、遥か遠く外宇宙に飛び立ってしまったフロンティアセッターも〈複製体〉という形で登場する。フロンティアセッター好きなのでたまらない。もし、フロンティアセッターが登場していなかったら、本作を読まなかったんじゃないだろうか [2] 。 フロンティアセッターのだけでなくアンジェラの複製体も登場するのだけれど、物語を牽引するのはそのどちらでもない。3人の学生ユーリ、ライカ、ヒルヴァーだ。彼らの視点で描かれる、普通の (メモリ割り当てが限られている) ディーヴァ市民の不自由さは、本編をよく補完してくれている [3] 。また、この不自由さはアンジェラの上昇志向にもつながっていて、キャラクタの掘り下げにも一役買っていると思う。アンジェラについては前日譚である『mission.0』の方が詳しいだろうけれど。 この3人の学生と、フロンティアセッターとの会話を読んでいると、フロンティアセッターがフロンティアセッターしていて思わず笑みがこぼれてしまう。そうして、エンディングに辿りついたとき、その笑みが顔全体に広がるのを抑えるのに難儀した。 おめでとう、フロンティアセッター。 最後に蛇足。関連ツイートを 『楽園残響 -Goodspeed You-』読書中の自分のツイート - Togetterまとめ にまとめた。 [1] 『楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選』は『楽園追放』と直接の関係はない。映画の脚本担当・虚淵玄さんが影響を受けたSF作品を集めた短編集。 [2] フロンティアセッターは登場しないと思って『mission.0』を読んでいない。 [3] 本編では、保安局高官の理不尽さを通して不自由さこそ描かれてはいたものの、日常的な不自由は描かれていなかったように思う。アンジェラも凍結される前は豊富なメ

報復前進

『完全なる報復 (原題: Law Abiding Citizen)』 を観た。 本作では、家族を押し入り強盗に殺された男クライドが、その優れた知能と技術でもって犯人に報復する。 ここまでで半分も来ていない。本番はここから。 クライドの報復はまだまだ続く。 一見不可能な状態からでも確実に報復を続けるクライドが、冷静なのか暴走しているのか分からず、 緊張感をもって観ていられた。 欲を言えば、結末にもう一捻りあると嬉しかった。 ちょっとあっさりし過ぎだと感じてしまった。