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ここ1,2ヶ月で読んだSF系の本

ここ1,2ヶ月で読んだSF系の本を振り返る。

マルドゥック・アノニマス4

〈アノニマス〉シリーズもはや4冊目。ついにウフコックが彼女の手に。事態は進行していないのに読み応えを感じたのが自分にとっては珍しい。物語を追いたいあまり、急かされるように読むことさえあるので。

マルドゥック・デーモン

こちらはスピンオフ・コミック。上下巻できっちり描ききられているのがうれしい。表紙を見ての第一印象では、コミカルで軽めかな? と思いきや、小説と肩を並べる絶妙な半熟 (ウフコック) 加減。

巨星

テッド・チャンが解説ということで『ブラインド・サイト』が気になっていたのだけれど、続編まで含めて計4冊(『ブラインド・サイト』、続編『エコー・プラクシア』の各上下巻)あったので、短篇集のこちらから手を出してみた。「天使」と「遊星からの物Xの回想」の印象が強い。いずれも非人類の一人称ハードSFで、「天使」がAIで「遊星からの~」が地球外生命体。人間が読める文章なんだけれど、思考の方向性が人間とは異質でぞくりとする。

遊星からの物体X

『巨星』の「「遊星からの物体Xの回想」は本映画へのオマージュ。タイトルだけは聞いたことがあって、古い映画(1982年日本公開)だったので敬遠していたけれど、いい機会なので見てみた。いわゆるデスゲームに近い状態に置かれた登場人物達のやりとりといいXの造形といい、古さを感じずに見られてびっくり。さらに「遊星からの物Xの回想」を読んだすぐあとだったので、複層的に見られたのもよかった。

筐底のエルピス 6

シリーズ6冊目。残る1つのゲート組織《I》が表舞台に出てきたり、あの人の過去が明らかになったりと、ますます話が広がって期待が膨らむばかり。早く、早く続きが読みたい……。

巨神計画 上・下

巨神がぐわーん、がしゃーんってなるかな?って期待とは裏腹に、巨神を巡るパワーゲームに引き込まれる作品だった。『巨神覚醒』、『巨神降臨』へと続いていくので、きっと持ち越しということだろう。終盤はそれを期待されてくれる展開だったし。もしそうじゃなくてもきっと楽しめるはず。本作は本作でおもしろかった。

零號琴

形容しがたい作品だった。何をどう取り上げても足りない気がする。ごった煮というには澄んでいる。バカバカしくもあれば、切々ともしている。いろいろ過剰に思えるけれど、とっちらかってはおらず、むしろぐいぐいとページをめくらせてくる。中~終盤なんか一気に読み切ったてしまった。

大進化動物デスゲーム

『最後にして最初のアイドル』や『エヴォリューションがーるず 』と違って、タイトルから殺伐としている。相変わらず飛ばしてはいるけれど……と途中から薄々予感はしていたけれど、続きます。

アステリズムに花束を

〈百合SFアンソロジー〉。全9作どれもおもしろかったけれど、伴名練「彼岸花」が大の好み。短篇集の『なめらかな世界と、その敵』も読もう。麦原遼・櫻木みわ(共作)「海の双翼」も繊細で染みる。『美しい繭』を買ったところ。読むのが楽しみ。陸秋槎「色のない緑」は近未来の言語学の学術研究の話がおもしろかった。ミステリーっぽいとおもったら『元年春之祭』というミステリも書いていたので、手を出すつもり。そして小川一水「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」。もっとこの2人の物語を読みたいと思っていたら、長篇版の企画が動いているみたい。これはうれしい。

それでもデミアンは一人なのか?

Wシリーズ、もう少し先が読みたかったと思っていたら、WWシリーズが始まった。直系の続編になっているように見える。デミアンが悟ったような言葉やら武器やらのせいで、〈ヴォイド・シェイパ〉シリーズの彼とダブる。続きは10月に『神はいつ問われるのか?』が刊行予定、という覚え書き。

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北へ - ゴールデンカムイ 16

『ゴールデンカムイ 15』、『〃 16』を読んだ。16巻を読み始めてから、15巻を買ったものの読んでいなかったことに気がつく。Kindle版の予約注文ではままあること。 15巻は「スチェンカ・ナ・スチェンク」、「バーニャ(ロシア式蒸し風呂)」と男臭いことこのうえなし。軽くWebで調べてみたところ、スチェンカ・ナ・スチェンク (Стенка на стенку) はロシアの祭事マースレニツァで行われる行事のようだ[1]。それなりになじみ深いものらしく、この行事をタイトルに据えたフォークメタルStenka Na StenkuのMVが見つかった。 16巻では杉元一行は巡業中のサーカスに参加することになる。杉元と鯉登の維持の張り合いが、見ていて微笑ましい。鯉登は目的を見失っているようだが、杉元もスチェンカで我を失っていたので、どっこいどっこいか。なお、サーカス/大道芸を通じた日露のつながりは、実際にもこのような形だったようだ[2]。 個々のエピソードから視線を上げて、全体の構図を眺めてみると、各勢力がすっかり入り乱れている。アシㇼパは尾形、キロランケ、白石とともにアチャの足跡を辿り、そのあとを鶴見のもとで家永の治療を受けた杉元が鯉登、月島を追っている。今更だけれど、杉元やアシㇼパは、第七師団と完全に利害が衝突していると考えていないはずだった。一方で、土方一味も入墨人皮を継続。むしろ彼らの方が第七師団との対立が深刻だろう。さらに北上するキロランケはまた別の目的で動いているようだけれど、なんで尾形も一緒なんだっけ? 『進撃の巨人』に引き続き、これもそろそろ読み返す時期か。 [1] 5つの暴力的な伝統:スラヴ戦士のようにマースレニツァを祝おう - ロシア・ビヨンド [2] ボリショイサーカスの源流は、ロシアに渡った幕末日本の大道芸人たちにあった 脈々と息づく「クールジャパン」 | ハフポスト

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