『このSF的宇宙で安全に暮らすっていうこと』を読んだ。 翻訳は円城塔さん。どうしたって 『松の枝の記』 を思い出す。もちろん本作は、『松の枝の記』で言及されていた底本のない翻訳ではない。ちゃんと底本が存在する。 理系的な家族小説だった。 『相田家のグッドバイ』 を連想する。SF要素が散りばめられてはいるけれど、終始問題にされているのは主人公とその父親との関係だった。SFではあるけれど個人間の関係にフォーカスしているという意味では 『みずは無間』 も思い出す。 不思議な小説だった。SF的だけれど純文学的でもあって。