『都市と都市』を読んだ。久し振りのSF。 タイトル通り、二つの都市を舞台に物語が進む。でも、あくまで主役は人。それもハードボイルドもの。二つの都市については、多くは語られない。想像するだに無理がある関係にあるので、そんな関係に至った経緯が気になって仕方がない。 でも、解説によると、「ミエヴィル自身は、本書が現実の政治状況にアレゴリー(寓意)として読まれることに強く意を唱えている」そうだから、そういうもんだと割り切って読んだ方が面白かったのかもしれない。 例えば、ミステリィの嵐の山荘ものや密室ものののように。これらも何だかんだ理屈は並ぶけれど、容疑者が絞られる点で明らかに犯人に不利だし、そんな状況には普通はならない。 実際、状況が与えられたらその経緯はともかく、どんなに理不尽だったり不可解だったりしても、従わないと不利益を被ってしまう。 自分もあまり深く考えず従って読んだ方が面白かったか、と思う。そう思っている今、他の作品も読んでみたいと思う。最初だったので警戒してしまったけれど、そういうものだ、と受け入れてしまえばとても楽しめそう。 そういう意味では、都市シリーズに近い。あれも、ここはこういう都市だ、という地点がスタート。その都市のルールに従って、物語が進む。自分は、巴里が特異な都市で分かりにくかったけれど、その分、思い入れがある。 ちなみに都市シリーズは、今アニメ2期で放送中の『境界線上のホライゾン』の原作と同じ著者。全貌は明らかになっていないけれど、同じ世界での物語。『境界線上のホライゾン』の裏表紙に、"FORTH", "AHEAD", "EDGE", "GENESIS", OBSTACLE", "CITY"とあって"GENESIS"が強調されているけれど、都市シリーズは"CITY"が強調されている。 各単語は時代を表している。各時代の簡単な解説が、 都市世界 - Wikipedia にあるので興味があればどうぞ。