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『言語の起源』の感想

『言語の起源』を読んだ。

原始的なコミュニケーションはイントネーションとジェスチャーを通して行われており、そこから構造化されていって言語が生まれたという話。言葉が通じない相手とコミュニケーションするために、イントネーション・ジェスチャー・絵、使えるものはなんだって使うだろうから、原始的なコミュニケーションには構造がなかったという主張には納得させられる。

もうひとつ繰り返される主張は、言語を使えるようなったのは、コミュニケーションできた方が生存に有利だったためそのように進化していったということ。突然変異で言語を扱えるようになったという仮説や脳に言語を司る部位があるという仮説に、しつこいくらい反論している。以前の自分はそういう仮説に惹かれていたかもしれないけれど、今の自分はこの主張に違和感を覚えないし、もっと言えば起源単体への関心が薄くなっていることを改めて実感。現在の言語がどう発展してきたのか、遡る方向の本も探して読んでみようかな。

ところで、個人的な関心は記号の進化過程にあったのだけれど、こちらはあまり掘り下げられていなかったのが残念。まずインデックス(物理的につながりのあるものを示す。例は足跡)、それからアイコン(物理的ににているものを示す。例は肖像画)、シンボル(ほとんど恣意的)と徐々に抽象化されたのではないか、というくらいの話はあった。いずれにせよ「起源」を考えると、声と身振りより先にあったとは思えないので、これは「言語」で真っ先に「書かれたもの」を思い浮かべた自分の方がズレていた。

メモ:チョムスキーの「生得文法」があり、その反証として著者の『ピダハン――「言語本能」を超える文化と世界観』があり、その延長として本書があるみたい。チョムスキー、計算機科学における形式文法の発案者として知ったのでそのイメージが抜けない。

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