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ここ1,2週間のよしなにごと

屋内で熱中症とおぼしき激しい頭痛・吐き気に襲われたと思ったら、 急に寒くなって風邪をひきそうです。秋の花粉が飛び始めたのか目も痒い。花粉症にはヨーグルトがいいらしいので六花ちゃんごめん。 下半期に入ったからか、音声合成に関するクラウドファンディングが相次いで発表されました。 10月20日: CeVIO AI & VoiSona トーク 双葉湊音 10月27日: A.I.VOICE junior 華鏡よさり 11月中旬:琴葉茜・葵ライブ(A.I.VOICE公式生放送で言及) ロサ(ROSA)ちゃんも 「今月は、いろいろな発表が出来るかも!?✨」 とポストしていたのでクラウドファンディングもあるかもしれません。当初から将来の目標にしていたし改めてステージ衣装の存在をアピールしていたので、Synthesizer V制作に期待です。 フリモメンのSynthesizer V化にも対抗意識を燃やしていた し。 それにしても Synthesizer Vフリモメン制作決定 には驚かされました。無駄に声がいいネタキャラが好物なので大歓喜です。リリースは2024年とまだ少し先ですが今から楽しみです。次のボカコレにはぜひフリモメンで参加したい。まもなく Synthesizer V AI Eriの発売 とともに日本語ラップに対応するはずなので フリモメン・スタイル とは一味違ったラップを作りたい。 DTMしたい気持ちは抱きつつも最近は VOICEVOX後鬼投稿祭2023 に解説動画を投稿したりSkebで Eleanor Forteさん や 柑橘狗さん を描いたりとそれ以外の創作に時間を費やしていて、DAWの起動にすら至っていないのですが。今も WhiteCUL投稿祭 のためにVOICEVOX雪さんでゲーム実況動画を制作中です。描きおろし立ち絵で A Short Hike 動画を投稿予定なのでお楽しみに。 思えば早いもので、後鬼さん・雪さんそれからNo.7さんのVOICEVOX5期生誕生から約1年。10月6日には8期生として4人――栗田まろん、あいえるたん、満別花丸、琴詠ニアが追加されて今や総勢30人。 VOICEVOXコラボカフェの開催も決定 して勢いを感じます。ボイボ寮の増築ペースにもち子さんの過労も危ぶまれます。 8期生の中でも特に話題を集めているのは栗田まろんさんでしょうか。
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『水族館の文化史―ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界』を読んで

『水族館の文化史―ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界』を読みました。 『動物園・その歴史と冒険』 がおもしろかったのでこちらにも手を出してみた次第。 構成には類似点があります。「第1章 水族館前史」で古代~近世の水族との関わり方を概観したのち「第2章 モダンでレトロな水族館の世界」以降、私たちの知る水族館やその未来について語られます。 似た部分があるからこそ、かえって陸生動物と水生動物の違いが浮き彫りになっているように思いました。最大の違いは人類と同じ空気を吸えないこと。水槽ごしに見ることしかできず、音も匂いも共有できません。住んでいる世界が違います。 水槽ができるまで、その世界は水面から見下ろすことしかできませんでした。水族館があるのが当たり前の時代では、意外と想像しがたいことです。

『ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー』を読んで

 SF短篇集『ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー』を読みました。収録されているのは次の5篇。私のお気に入りは後半3作でした。 石川宗生「うたう蜘蛛」 宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」 斜線堂有紀「一一六ニ年のlovin' life」 小川一水「 大江戸石廓突破仕留 ( おおえどいしのくるわをつきやぶるしとめる ) 」 伴名練「二〇〇〇一周目のジャンヌ」 一番のお気に入りは「大江戸石廓突破仕留」。直接描かれている以上の広がりが感じられました。本作の舞台となった場所・時間の外ではどんな物語が繰り広げられていたのかと、想像が膨らむばかりです。どストライクでした。違和感から歴史改変を予感させつつ終盤での種明かしへと至るダイナミズムには否が応でも盛り上がります。 逆に非常に美しく閉じていたのが「二〇〇〇一周目のジャンヌ」。タイトルから察せられるとおりループものです。ループものでは周回を繰り返しながら目指す世界に辿り着くのがよくあるのですが、その先入観を逆手にとった展開。ですが逆張りが目的化しておらず、ジャンヌであればこうなのだろうという十分な説得力がありました。 「一一六ニ年のlovin' life」も非常によかったです。いとエモし。改変歴史の必然性が情緒的に語られていたのが好みからズレるのですが、そこが理知的だと水を差してしまう気もします。今思えば、「歴史改変SFアンソロジー」という文脈に第一印象が引きずられ過ぎな感は否めません。

『動物園・その歴史と冒険』を読んで

ラクレ新書『動物園・その歴史と冒険』を読みました。動物園の楽しみ方を増やしてくれる一冊でした。 冨や権力のシンボルとして収集・展示されていた時代から、第1次・第2次大戦を経て近代的な動物園に至るまでの歴史が描かれている。 単純化し過ぎた見方ではあるけれど、人権意識の高まりを追いかけるように動物の待遇が狭い檻から生息地を模した環境へと変化していっているようにも見える。一方で、戦時には処分されたりプロパガンダに利用されたりと時代に翻弄されているようにも見える。 動物園ってなんなのか改めて考えてしまう。著者が示す可能性のとおり「ひととそれ以外の生きものの関係をデザインする場」になっていくのだとしたら、それは動物園に限らずペットなどとの関係も視野に入ってくるのかもしれない。 余談1:ところでメディアでよく見かけた「行動展示」や「旭川動物園」は出てこなかったけれど、これは動物園の歴史上どのような位置づけなのだろう。 余談2:積みゲーになっている "Planet Zoo" のことをふと思い出したり。

『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』感想

SF小説『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』を読みました。事故で片足を失ったダンサーが、AI制御の義肢とともに新たな表現に挑戦する物語です。 著者はアニメ化された『BEATLESS』で知られる長谷敏司さん。Twitterアカウントでは、AIについての思索をよくツイートされています。2022年11月にChatGPTが一般公開されて以来、AIの可能性について多くの意見が見られるようになりましたが、SF小説家らしく冷静に自身や社会への影響を分析なさっていて、とても参考になります。 なお、本作が出版されたのは、ChatGPT一般公開のほんの1ヶ月前――2022年10月(あとがきによると、前身となった中篇はさらにその6年前――2016年に遡ります)。わずかなタイミングの違いで、AIの描かれ方が激変していたかもしれないと考えると、変化の速さを改めて実感します。 そう感じる一方で、私が本作から最も強く感じたのはAI技術の変遷で風化しない生きることと切っても切り離せない気持ちでした。それは「ままならなさ」です。本書はままならないことに溢れています。 事故に遭う可能性は、ゼロにはできません。事故後しばらくは動くことさえできません。リハビリでは自分の身体を思いどおりに動かせません。日常生活を送れるようになっても、AI制御の義足では事故以前の身体表現はできません。ダンサーとしての収入が失われたため、生活も苦しくなる一方です。そこに父母の自己、母との離別、父の介護というさらなる不幸が降りかかります。認知症を発症した父とのコミュニケーションはほとんど成立しません。同じダンサーとして父を尊敬している主人公と違い、もともと父と不仲だった兄は連絡を寄こしません。 正直に言って生々しく重々しいです。得意不得意でいえば不得意な物語です。 それにも関わらず一気に読み切ってしまいました。ダンスを選択し続ける主人公に美しさを見たからです。無数の「ままならなさ」を引き受けてなおダンスのための選択を続ける意思には、機能美が感じられます。「機能美」というと余分なものをそぎ落としたイメージを抱かれるかもしれませんが、現実には種々の制約が存在します。その範囲の中で隅々まで目的意識が行き渡っていて、かつ高いレベルで達成されているため、そぎ落とされたように見えているのではないでしょうか。

ヘッドホン ATH-WS1100 を導入

audio-technicaのヘッドホンATH-WS1100を導入した。ずっと使い続けているATH-WS770の音が痛いくらいのときがあるのが最大の理由。7年も使っているので調子が悪くなってきたのかもしれない。ATH-WS770購入当時、確かヨドバシカメラで視聴してもわからなかった違いが今は感じられる。うん、ずっとよくなった気がする。ヘッドホン以外の要因もあるだろうけれど。自宅で聴き慣れた音源で比較しているし、好みの音が変わっているかもしれない。 好みの変化には心当たりがある。ここ2, 3年でPCのオーディオ環境がすっかり変わった。オンボードのサウンドカードを使っていたのが、DTMで遊ぶためにオーディオインタフェースStudio 24cにモニタリングヘッドホンATH-M50Xを使うようになっている(最初はATH-M40Xだったのだけれど1年も経たないうちに壊してしまった)。気が付けばすっかりケーブルがスパゲッティだ(Factrioやりたくなってきた)。あとソフトウェア的にも常駐こそしていないもののSoundID ReferenceやVoiceMeeter Vananaをインストールしたりしている。 というわけで、ATH-WS770の不調は気のせいで、ATH-M50Xの音に耳が慣らされた可能性も無きにしも非ず。ATH-WS1100のレビューを探すと、ATH-M50Xに近いだとかATH-WS770より低音が控え目(中高音がよく出ている)だという評価が見つかる。せっかくだから自分の耳でATH-M50Xと比べるとATH-WS1100の方が鑑賞には向いている気がする。よく言われるモニタリングヘッドホンとリスニングヘッドホンの違いそのままで面白味には欠くけれど、ATH-M50Xの方が分離感が強い。 もののついでに聴き比べにあたってヘッドホンアンプMACKIE HM-4を挟んで分配できるように配線した。とてもややこしい。手探りなのでおかしなことをしていないか不安になる。ケーブルや変換プラグもよくわからないからaudio-technicaでそろえておいた (それぞれATL476A/3.0, ATL401CS)。実はMACKIE HM-4にInputはStudio 24cのヘッドホン出力ではなくMain Outからつなぐこともできると知ってEBS ICY-30を注文し始める始末。端子

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> (小説)を読んで

『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』を読みました。同題のアニメシリーズの小説版です。著者は脚本を担当された円城塔さん。 アニメの内容を補間する内容となっており、読み応えたっぷりでした。アニメは基本的に神野銘あるいは有川ユンの視点で描かれていましたが、本作の語り手はJJ/PP。「有川ユンによって開発されたコミュニケーション支援AI、ナラタケの一ブランチであり、今やその総体である」と自己紹介しているので、自分としてはナラタケと理解した方がしっくりきます。裏を返すとアニメで描かれた内容にはほぼ触れられません。たとえば「また別の物語として参照されたい」とあからさまなポインタが示されるだけです。 銘・ユンの視点では触れられなかったキャラクタの心情等もよいのですが、徐々に明かされる怪獣という現象の描写がとてもおもしろかったです。ある種の生命ではあるのですが、既知の生命体・物理系とは相容れない存在であることが示されています。《ゴジラ》と名指しされる《それ》が何であり、タイトルS.P<シンギュラポイント>=特異点が置かれた脈絡はどこなのか、アニメでは掴み損ねていたのですが、本書を読んでずいぶんとスッキリとしました。 しかし、本書の最大の魅力は語り手であるJJ/PPでしょう。アニメではデウス・エクス・マキナにさえ見え、本書ではいわゆる「神の視点」でもって物語を進めていくそれはいったい何なのか。何だったのか。何になったのか。何であるのか。そして、なぜ物語がこの形になったのか。言い換えれば、なぜ本書がこのような章構成をとっているのか。こういったことを考えていて、メタ構造が見えたときの驚き。 JJ/PP(あるいはナラタケ)と《それ》の在り方がとても美しく儚く見えます。しかし、そう感じるのは人間の勝手であるとも言えます。人間よりAIの方が正確で信頼できるのでしょうから。